2021年3月27日 第656回 月例天文講座  

シリウスの話

      元国立天文台  竹田 洋一 先生


 全天一の明るさで輝く大犬座の一等星シリウスは人々に深く関わってきた星である。 古くは自然災害の兆しを知らせる復活の神として崇拝の対象ともなれば 暑気の毒をもたらす障りの星でもあったので、洋の東西を問わず古典や歴史的文献にも 少なからぬ言及があり、いわゆる「シリウスは赤かったのか?」論争の因ともなっている。

 19世紀から20世紀にかけての近代天体物理学の萌芽期においては異常な伴星 (白色矮星)の存在やその重力赤方偏移の検出など画期的な発見の舞台にもなったが、 の成果に至るまでには色んな人の努力や混乱の人間模様があった。

 今日ではスペースからの観測など先進的な観測手法のおかげでこの連星系の物理的性質は かなり詳細にわかってきたが、なぜ現在このような星になったのかという点については 未だに疑問点が残っている。

 このシリウスという星が人類の文化史・科学史において果たした役割、並びに 現代天文学が明らかにしたその姿と未解決の謎、についてお話ししたい。



[参考] (中嶋記)
*上記の講演要旨は,国立天文台談話会資料より引用したものです.
*右上図は、Wikipedia より.  (クリックで拡大します)
*参考資料: 「重力赤方偏移と精密視線速度測定」(天文月報記事 より)