演題 おじさんは宇宙人〜森本雅樹先生を偲んで〜

要約 日本の宇宙電波のリーダー森本先生が亡くなってちょうど5か月目の今日、森本先生の代理
で講演をさせていただくこの偶然を感謝したいと思います。
森本先生の、宇宙電波の世界での様々な活躍を語る方は大勢いらっしゃると思いますが、先生の生
き様は宇宙電波に留まらず、すべてにおいて型破りでした。新しいことを、みんなと一緒に、楽し
くやるということが徹底されていました。せっかくの楽しいことを自分だけで一人占めしないとい
うのは、ある意味では森本イズムに巻き込まれることでもありました。それはそれは意義ある巻き
添えでした。そんなエピソードを少しご紹介します。
 森本先生が宇宙生命に関心を持っていたこともよく知られているところです。寿岳潤先生や横尾
広光先生などとSETI(地球外知的文明探査)研究会を開催されたり、平林久先生と組んでアルタイ
ルに1983年8月にメッセージを送ったりしました。アルタイルまでは17光年弱ですから2000年に
はメッセージが届いています。すぐに返事を書いてくれると2016年中にはアルタイル星人からの
メッセージが届くはずなのですが、その可能性はあるのでしょうか。
 森本先生が興味関心を抱いた宇宙生命、それは理由があります。宇宙は137億年前に誕生したと
言われていますが、私たち生命の材料は、この宇宙で創られたのです。星が誕生し、長い間輝き続
け、そして最後は華々しく爆発で一生を閉じる・・・・この星の一生の中で、私たちが知っている
元素のほとんどが合成されています。生命のふるさとが宇宙だと言われる所以です。
では、そんな宇宙には、いっぱい生命が誕生していて、場合によっては人間のような高度な文明を
獲得した宇宙人の存在も考えたくなります。現実はどうでしょうか。火星に生命探査の着陸船を飛
ばしたり、隕石に生命の痕跡が見つかったとか、バクテリア化石が見つかったとか、宇宙生命に関
するニュースには注目が集まります。
 森本先生にできれば見つけて欲しかった宇宙人。でも、宇宙生命さえ未だに見つかっていないの
です。それはいったいどうしてなのでしょうか。ご一緒に考えてみましょう。