7月18日(土)、吉川 真 先生 講演記録   (中嶋作成)

はやぶさ2の新たな挑戦 


                          右のパワーポイント画像をクリックすると拡大します.

◎はじめに

はやぶさ1号は,小惑星「イトカワ」の探査に
成功した.



小惑星「イトカワ」
 日本のロケットの生みの親,糸川英夫博士にちなんで
 JAXAで名前が付けられた.



はやぶさ2が向かうのは,小惑星 1999 JU3
 これは「仮符号」で,名前はまだない.




小惑星 1999 JU3 の名前を,JAXAホームページで公募





◎最近の太陽系探査 ついこの間,ニューホライズンズによる冥王星の写真が公表された.  クレータがあまりなくて山や氷の原がある!  > 変わった世界が見えてきた  > まだまだ未知の世界がある. 小惑星の分布と数 ハッブル望遠鏡で見た小惑星 探査機が見た小惑星  イトカワに比べると大きいものが多い. 探査機が見た彗星  ロゼッタによるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の観測が圧巻 大きさ比べ(NASAのページから合成)  イトカワは大変小さい 小惑星「ヴェスタ」 小惑星「ケレス」 準惑星「冥王星」 近年の主な探査機の成果  去年から今年はみごとな観測が多く,記念すべき年. ※小惑星探査の意義   科学(太陽系と生命の起源と進化)> はやぶさ2は,     生命のもとになる物質を探査   スペースガード(衝突を事前に検知)   資源(未来)   有人ミッション(火星以前の準備として)   技術   文化 ※日本の探査の特徴は,小さい天体で,サンプルリターンを   ねらう.
◎「はやぶさ」の復習 日本の探査機の歴史  日本のミッションは特徴のあるものが多い. はやぶさの特徴    サンプルリターンは世界初  2003年〜2010年 (企画は1985年に始まる)   ミッションの全体図   はやぶさ探査機の技術の特徴  技術への挑戦    電波で位置を決めるのは困難なので「光学航法」を採用. 地球への帰還  はやぶさ,想定外,いろいろ はやぶさのもたらしたもの   社会的反響  感動  チームワーク  ロバスト性の向上  若い世代に夢を
◎新たな挑戦「はやぶさ2」 1.科学的意義: 有機物の探査(C型小惑星) 2.技術的意義 3.探査としての意義 太陽系の誕生と進化を解明する   隕石のキャリブレーション  > 隕石は地球の影響が大きいので,それを    補正する. 小惑星探査計画の経緯   はやぶさは「ミューゼスC」計画  2006年にはやぶさ2の計画が始まる
◎はやぶさ2,打ち上げドキュメント   〜初期機能確認,巡行フェーズ移行まで  他の衛星も搭載されていた   ロケットは,通信が途絶えないようにして  まず地球を一周,その後衛星を切り離す.  スタッフは相模原の管制室に,  マネージャは種子島に(記者会見のため)  私は軌道の部屋にいた   探査機の分離の映像    最初の3日間のクリティカル制御の内容  次の1か月くらい,徹底的にテスト   イオンエンジン,Kaバンド通信テスト,    イオンエンジンの連続運用  >  すべて成功   いまは軌道の精密調整中   本年暮れにスイングバイ  地球スイングバイは,2015年12月3日   はやぶさ2の現在位置 
◎はやぶさ2のミッションの内容説明  サンプル取得方法    衝突装置が爆発,     穴が開いたらそこへタッチダウンしてサンプルを取る   分離カメラでリアルタイム撮影  破片の衝突を避けるのが難しい   探査対象の小惑星の特徴   大きさ比べ    2018年夏,到着予定
[質問] *次のミッションはどのようなものを考えているか?  > イカロスとイオンエンジンの組み合わせ.    50mくらいのソーラーセイル.    トロや群小惑星を探査.    大変時間がかかる    ソーラーセイルでは発電ができる. *予算を獲得する流れ?  > 審査会の評価を何回も受ける.    コストが増えると計画が中止になってしまう.    はやぶさ2では切り詰めながら計画を作成. *1999 JU3 の古さ?  > 46億年前,微惑星として誕生し,     それから少し変化しただけと思われる.    アメリカのミッションも丸い小惑星を探査.    小さいけれど丸いものが多い. *有機物が見つかったら,どのようなことがわかるのか?  > アミノ酸の光学的性質をまず調べる.    地球上の有機物はすべて右旋性であるが,     これは小惑星でも同じか? *遠方からの制御はどのように?  > ケースバイケース.    間に合えばメールを送って制御.    緊急のものは自律制御.                       以上