2016年8月20日 第605回 月例天文講座 

宇宙に生きる

        JAXA 宇宙科学研究所 准教授 黒谷明美
講演記録 (中嶋作成)
◎自己紹介:(略)
 小さい頃は,「だんごむし」などを突付いて遊んでいた.

 『しらべえ』 2016/7/31 によると:
  20歳台の男性の8割が,虫がさわれない,という.
  若者の昆虫離れが深刻(母親の影響?)


◎宇宙生物学とは:
 宇宙生物(ET)+学 ではなく 宇宙+生物学 
 →生物に対して地球の環境がどうなっているか.


◎「宇宙」ってどんなところ?
・大気がとても薄い
・宇宙放射線
・無重量の世界


     [写真] ISS,「きぼう」,大西卓也さん


 7月13日 google+:宇宙に来てからの体の変化 コピー
  人間の体の適応能力はすごい.


◎人間の体はどうなる?
・筋肉が痩せる

・骨が弱くなる
 →骨には「破骨細胞」と「骨芽細胞」がある.
   宇宙では骨芽細胞が働くなる
   宇宙飛行士は,1日に2時間は運動する.

     [写真] 宇宙に出たカエルの骨の写真

    9日の宇宙体験でカルシウムが20%少なくなった.
    人間の場合1% 

・カルシウムが尿から出る → 尿路結石(痛い病気)

・骨量減少を防止
 →ビスフォスフォネート その他新薬(構造式)

・心臓が弱くなる

・顔が丸くなる  [写真]  古川飛行士
 →上に体液が上がって顔が膨らむ. →「Moon Face」
  2−3日後には順応する(心臓が働くなってくる)
  帰還直後心臓に負担
  古川さん,足や首のサイズを測る → 首は太く,足は細く

・宇宙酔いになる
 →重力の方向を感じるのは 
   平衡感覚(内耳の耳石器官)
   視覚
   内臓の重さ

      [図]  耳管
          卵形嚢と球形嚢
          三半規管の図  → クラゲにもある

 →無重量でこれらの感覚の「ずれ」や「くいちがい」がおこり,
  感覚が異常になる.
  → 1週間程度で脳が反応を改造する.
    どちらを床,と決めることができる.
  → Dr. Furukawa の,一人二役の宇宙酔いの twitter 

・腰痛
 →身長変化と腰痛
  身長が伸びる → 軟骨が膨らむ → 腰痛(人による)
  (肩こりは解消される)

      [写真]  中立姿勢をとる古川宇宙飛行士

・血圧
 上腕と足で,血圧差がなくなる

・足の裏の変化
 皮がむけて,きれいな足に

※ 帰還後のリハビリ
 →古川さんは45日間のリハビリ

    [資料] 古川さんの twitter (日本宇宙少年団横浜分団のページより)
         向井さんの話もある.


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[質問]

*目が悪くなったらもとに戻るか.
 > かなりのものが元に戻る.

*宇宙酔いと高山病の関係はどうか.
 > 宇宙酔いも1週間ぐらいで治る.
   地上の気分の悪さとは別.

*数年の宇宙生活では,成長などはどうなるか?
 3歳児は成長するか?
 > 動物では実験可能であるが,まだ未知.

*カタツムリはどんなふるまいをするか?
 > まだ動物実験はやられていない.

*運動しないと腹がすかないのではないか?
 > 宇宙でも運動はする.
   水分が抜けやすいので,十分の量を取っている.

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[ビデオ] 宇宙から見た景色
 David Peterson,  World outside ..(YouTube より)