2018年3月17日 第624回 月例天文講座  

宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト

   金沢大学名誉教授 村上敏夫

(右上はガンマ線観測衛星ヴェラの図 ,右下は最新の
  スィフト衛星.どちらもクリックで拡大)


 ガンマ線検出器を搭載した人工衛星で宇宙を観測していると、ある時突然に、短時間だけガンマ線が降り注いでくる現象が知られている。最初の発見は1967年ころで、この現象は「ガンマ線バースト」と名付けられた。
 
 しかし、その起源は長くわからなかった。現象が数10秒と短く、どの方向で次のバーストが発生するかを予言できなかったからである。観測の工夫をして、ガンマ線バーストは地球や太陽を起源としたものではなく、宇宙が起源とわかった。その発生方向が等方であること、受かる強度分布に規則性があることなどが知られた。

 発生から30年を経て、ガンマ線バーストの発生場所が遠方の銀河の中とわかった。銀河までの距離から推定される現場でのバーストの爆発エネルギーは、大きいことで知られていた超新星の爆発エネルギーを超えて、宇宙で最大の爆発となったのである。

 なぜこのように大きなエネルギーを出せるのかが新しい疑問となったが、そのヒントと原因は、相対論とブラックホールの生成だったのである。そして、ブラックホールの生成と同時に強い重力波も出していることが予言され、2017年になって、ガンマ線バーストと重力波が同時に受かり、理論は実証された。発見から50年の長い歴史と研究者の努力を紹介します。




[参考] (中嶋作成)
*右上カットは,こちら(wikipedia)より.右下カットは,こちら(wikipedia)より.
*参考図書『宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト』紹介ページ.
wikipedia の説明 (英文) ※ 和文のwikipediaは記述がやや古い.