2019年3月16日 第636回 月例天文講座 

「はやぶさ」から「はやぶさ2」へ

  JAXA 宇宙科学研究所 名誉教授 的川泰宣先生



 2003年6月に打ち上げられた小惑星サンプルリターン試験機「はやぶさ」は、何を目的として提案され、 どのように承認され、どのように設計・製作されたかを総括的に述べ、 打ち上げ後2010年6月の地球帰還までに遭遇したいくつかの困難とその克服のプロセス・原動力を解説する。 チームの構成メンバーそれぞれの思惑を慮りながらできるだけ幅広く人間像もとりあげる。

 設計のためのフィードバックの時間は少なかったが、初代「はやぶさ」の教訓が後継機「はやぶさ2」の設計・製作にどのように反映されたかを概観し、ミッション遂行の戦略的な類似点と相違点を推量してみる。

 「はやぶさ2」の現段階までの到達点を紹介し、地球帰還が予定されている2020年末までの スケジュールを紹介する。

 最後に、日本の宇宙活動の歩みを振り返って、その歴史の中に小惑星探査計画を位置づける。1957年のスプートニクで始まった人類の宇宙時代は1969年のアポロ11号の月面着陸で頂点を迎えたと言われる。アポロ以後の人類の宇宙活動の流れから、ISSの歴史的意味を抽出する。

 そこから現在の若者たちが主役となる時代が何を築き上げる時代となるべきかの示唆を焙り出すことは至難のわざかもしれないが、それをみなさんと一緒に試みてみたい。



[参考](中嶋記)
*右上カットは,JAXA宇宙研のページより.

*的川先生著書:
  人類の星の時間を見つめて(共立出版)
  小惑星探査機「はやぶさ」物語(NHK出版)
  宇宙飛行の父・ツィオルコフスキー物語(勉誠社)
  月をめざした二人の科学者(中公新書)