9月15日(土)、二村徳宏先生講演記録   (中嶋作成)

星雲遭遇と恐竜絶滅 ー 巨大隕石衝突だけではなかった 


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◎自己紹介
  勤務地: 岡山県 美星観測所 井原市美星町
       2つの望遠鏡 1m + 50cm 

  ゆるキャラは 「でんちゅうくん」









  仕事の内容: 地球に接近する小惑星の発見・監視
         ロケットの一部,仕事の終わった衛星
          (スペースデブリ)の監視




◎恐竜について    恐竜研究の歴史: ロバート・プロット,            リチャード・オーウェン   恐竜の時代:   恐竜は2億3000万年前〜6500万年前              恐竜の絶滅: 絶滅は,巨大隕石の衝突.             (という説が有力である.)   はたして巨大隕石が恐竜絶滅の犯人か?    → 大いに「異議」があるので,裁判を開いて      ほしい.
◎恐竜絶滅事件の犯人の裁判   被告は巨大隕石   弁護人は 講演者   *検察側の主張:(第1話)   → 死亡推定時刻の地層に証拠がある.   → アルバレス博士が証拠を見つけた.   → 隕石の大きさは,10km 程度と見積もられる.       (アルバレス博士)   → メキシコの「チクシュルーブ」にちょうどそれくらいの     隕石のクレータが見つかった!   → 巨大隕石の大爆発で雲が空を覆い,寒冷化して     「隕石の冬」となり,食べ物がなくなって恐竜が     絶滅した.   まとめ:検察側の主張は,右図の通り. *弁護側の主張:(第2話)   ほんとうに隕石で絶滅するだろうか?   真犯人は別にいるのでは?   たしかに衝突のチリで寒冷化するが・・・・     → 5,6年で寒さは元に戻ってしまう   チクシュルーブ以外にも,大きい隕石クレータは   いろいろある.   一方,地球の温度はチクシュルーブ以前(7300万年前)から   低下している.    → 海水温の低下 (有孔虫の化石から)   恐竜の数は衝突前から減少(200万年前には70%)    アンモナイトも減少   まとめ:弁護側の主張は右の通り    「巨大隕石は無実である」 *真犯人は誰か(最終話)   手がかり:  深海底掘削コアのデータ   白亜紀末付近のイリジウム濃度      隕石の時にはたしかに増加しているが,      それ以前からも増加していた.      5m の厚さ = 7300〜6500万年前        現在の宇宙物質の27倍のレベルを超える流入      → 大寒冷化   (大量絶滅ともよく一致)   犯人は,800万年の間,地球に塵を供給できるもの,   それは?     → 銀河系の中にいる!    暗黒星雲!!    星雲遭遇率  10億年で30回    超新星爆発  天の川銀河で100年で1.5回    原生代にはスターバーストを2回経験    ※ スターバーストでは超新星爆発が頻繁に起こる.   恐竜絶滅の真相は,太陽系が800万年かけて暗黒星雲   の中を通過したため.   暗黒星雲はまた,小惑星の軌道を乱して巨大隕石を発生させる. *エピローグ:大量絶滅と,種の大量発生   → 大量絶滅は何度も起こった.     そのたびに,生物種の大量発生が起きた.   → 特に「カンブリア爆発」と言われる「種」の大量      発生に注目すると・・・   先カンブリア紀の度重なる氷河期のたびに,種が増えた.   マリノアン氷河時代には,1億年に6回の絶滅があった.   → そのころ,銀河系にたくさんの星雲,超新星残骸が     あったのではないか.
◎まとめ          
◎質問: *(星雲であるという)証拠は何か?  → イリジウム  さらに深いところは調べられないか?  → プレートの動きで沈んでしまう.    ペルム紀末は,日本にも地層があるが,あまりきれいでない *太陽による星雲物質の排除はないか?  → 大量なので排除できない.    よけられない. *このような着想のきっかけは何か?  → 昔から星雲が遭遇したという研究はあった.    どんなことが起こるかという研究はなかった.    証拠が海の底にあると聞いて調べたくなった.    隕石の冬は短かったという話は前からあった. *銀河系の暗黒星雲との遭遇について?  → 太陽系は,2.5億年で銀河系内を一周,    3千万年の周期で銀河面を上下している.