2019年4月20日 第637回 月例天文講座 

人類の未来と宇宙を考える

  JAXA 宇宙科学研究所 名誉教授 平林久 先生


開講にあたって、未知の大きなテーマを考えてみよう。

 1. 無限のひろがりをもつ宇宙には地球外文明があるだろう。
 観測できる宇宙のなかに十分に多くの文明がなければ、確認することができない。

 2. まず、その舞台となる宇宙はどんなものか。
 138億年前に始まったと考えられるダイナミックな宇宙に、星や銀河が形成され、 生命体をつくる要素となる元素が増えてくる。

 3. 文明が発生するような環境があるのだろうか。
 地球外にはすでに数千もの惑星候補がみつかっている。生命が存在しそうな惑星が見つかり始めている。 観測から、太陽系外惑星に生命の存在が証明できるだろうか。

 4. 地球外文明からの信号を探すことができるだろうか。
 電波探査は60年の歴史があるが、見つかっていない。
電波と光での探査の能力が格段にあがっている。

 5. ここで、人間はこれからどうなるのだろうか。
遺伝子改造の先。人工知性体の行く先は? 心、認識は?
超人類への移行はあるのか? バナールの考えた例。

 6. 宇宙文明はどんなものだろう。
それは、私たちの未来の延長として考えられるのだろうか。
宇宙文明は何を求めるのか?
自然的、および人為的な滅びの要因を考える。

 7. 地球外文明との接近遭遇の可能性があるのだろうか。
 星間飛行は現実的なのだろうか。銀河への伝播は?フェルミに答えられるか。

 地球文明の責任、進歩に向かわせよう。
私たちは持続しなければならない。




[参考](中嶋記)
*右上カットは,アストロアーツのページより.

*平林先生の主な著書
『宇宙のわかる本』(広済堂出版)
『宇宙人の条件』(PHP出版)
『まじめな科学者の宇宙人探し』(共著、立風書房)
『星と生き物たちの宇宙』(共著・集英社)
『宇宙に知的生命体は存在するのか』(共著・ウエッジ)
『宇宙の始まりはどこまで見えたか?』(角川学芸出版)
『宇宙人に会いたい!』(学研教育出版)
『観測がひらく不思議な宇宙』(リーダーズノート社)
『超巨大ブラックホールに迫る』(新日本出版社)