2月15日 中嶋浩一 概要紹介
人類の宇宙観の変遷

 「人類の宇宙観の歴史」については、放送大学の講義に基づいて出版された 『宇宙観5000年史 ―人類は宇宙をどうみてきたか』(中村 士, 岡村 定矩 著、東大出版会)、 あるいは 『人は宇宙をどのように考えてきたか ― 神話から加速膨張宇宙にいたる宇宙論の物語』 (Helge G. Kragh, 竹内 努 他訳、共立出版)などの好著があります。これを見ると、 人類はいかにして現在の「138億年のビッグバン宇宙論」に到達したかがわかると同時にまた、 紀元前のギリシャなどでいかに高度な宇宙論があったか、ということもわかり、宇宙論の発展の 歴史の複雑さも印象づけられます。
 本講座では、これらをどのように理解したらよいかということについて、かなり強引な考察 を試みたいと思います。すなわちまず、歴史の流れをかなり単純化したパターンで記述し、 その流れの特徴を描き出すことを試みます。
 例えば、「宇宙の始まり」という考えは、すでに古代民族に色々見られる「天地創造」の 考えに始まるわけですが、同じような考えでも現代の「宇宙の始まり理論」は、それらと 大きな違いがあります。そしてこの違いをもたらしたのは、各種の科学・技術的宇宙観測 の発展です。パターン化の一つとして、「科学技術の発展と宇宙観の変遷」という視点が 考えられるわけです。
 8月の講座に続き、「どのように理解するか」という面を追及してみたいと思います。