2022年3月19日 第672回 月例天文講座 

宮沢賢治と一緒に銀河鉄道に乗ろう

     放送大学教授    谷口 義明
      (右図は下記図書の表紙、クリックで拡大)

 宮沢賢治は明治29年(1896年)、岩手県の花巻に生まれた。そして、昭和8年(1933年)、賢治はこの世を去った。明治29年と昭和8年。いずれも三陸大津波があった年だ。賢治は津波と共にこの世を訪れ、津波と共にこの世を去ったのだろうか。

 賢治がこの世に居たのはわずか37年だったが、その間、短歌、詩、そして童話をたくさん書いた。賢治は願い通り、デクノボーになれたのだろうか?

 賢治の作品は心に染みる。そのため、今でも国民的作家として、賢治は人々の心の中に生きている。私は天文学者なので、お気に入りの賢治作品は『銀河鉄道の夜』である。

 銀河鉄道は「はくちょう座」の北十字から「みなみじゅうじ座」の南十字まで駆け抜ける。玲瓏レンズのような天の川、見上げれば私たちの住む銀河系は大きな水素の苹果のようだ。

 いつまでも乗っていたいものだが、夢のような銀河鉄道の旅路はわずか4時間で終わる。主人公のジョバンニは楽しかったのだろうか? 大きな哀しみが残る旅路に何を学んだのだろう? 気になるところだ。それを知るためにも、賢治と一緒に銀河鉄道に乗ってみたいと願う人は多いのではないだろうか? 私もその一人だ。

 まずは天気輪の柱が見える丘に登ってみよう。そして、賢治と一緒に銀河鉄道に乗ってみることにしよう。『銀河鉄道の夜』に潜む謎を解く旅路である。

 それでは、いざ出発。


参考図書 『天文学者が解説する宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅』谷口義明、光文社新書、2020年



参考(中嶋記)
*上記の図書の、amazon の紹介ページ
*上記の図書の、天文月報の書評
*天文月報、参考記事