国立天文台『暦象年表』と,来年の天文現象(中嶋)


概略
 『暦象年表』は,天体の位置・日の出日の入などの毎年の天文現象を予報するもので,
国立天文台が毎年発行する.国立天文台では,平成20年まではこれらのデータを,理科
年表の「暦部」として刊行していたが,平成21年からは新たな装丁のもとに,より詳し
い内容の『暦象年表』として発行された.またこれにともない,それまで詳細な天体位
置の予報を掲載していた,海上保安庁海洋情報部発行の『天体位置表』は,平成22年を
もって刊行を終了することとなった.
 暦象年表の具体的な掲載内容は,以下のとおりである:
1) 国民の祝日,二十四節気などのカレンダー関係の資料
2) 太陽・月・惑星などの天体の位置
3) 各地の日出日入,東京の潮汐など
4) 日月食などの天文現象
5) 話題,トピックス
 ここに掲載される,日時・天体位置などの数値は,国際的な標準の天文定数および計
算方式に基づいて,国立天文台が責任をもって計算する.たとえば春分秋分の日などは
歴象年表の計算値に基づき,前年初めの閣議で決定され官報に公示されて初めて休日が
決定する.
 講演では,新しい暦象年表の具体的な内容,および近年の暦象の話題,さらに2012年
の天文現象について解説する.