宇宙のひろがりとビッグバン後の初代星(青木) 4回の講演で、「物質の進化」という観点で宇宙の歴史を概観したい。初回は そのイントロダクションとして、宇宙の構造とその形成の節目としての宇宙の初 代星について紹介する。 我々の地球は太陽系の一員である。この太陽系は天の川銀河(銀河系)の一員で あり、銀河系中心から2万5千光年ほどのところに位置している。天の川銀河は数 十個の銀河からなるグループの主要メンバーの一つであり、このグループはさら に大きな銀河の群れの一部である。宇宙にはこのような銀河のおりなす構造がひ ろがっている。 このような構造がなぜ、どのようにつくられてきたのか。そのシナリオは描か れるようになってきたが、まだ定説といえる段階にはない。その理解の鍵の一つ と目されているのが宇宙の初代星である。初代星とは、ビッグバン後に残された ガス雲から直接誕生してきた星々を指すが、そのなかの特に質量の大きな星は以 後の星形成に大きな影響を与えるとともに、物質進化の出発点にもなったと考え られている。最近の研究で理解できていること、謎になっていることを紹介する。