青い銀河のカタログKUG(中嶋)

 「銀河」は,元は「天の川」と同義語であったが,近年は天の川と同様な天体一般を
示すことばとしてようやく定着した.メシエカタログの M31,M33 などの天体は,元は
「アンドロメダ大星雲」,「渦巻き星雲」などと呼ばれていたが,シャプレーらによって
まず天の川が「銀河系」という一つの天体として認識され,また1930年代にハッブルに
よって M31 などがこの銀河系の外部にあり,銀河系と同等の天体であることがわかって
からは,これらは「島宇宙」,「銀河系外銀河」,「系外銀河」など,また中学校教科書
(現行課程以前の旧課程)では「恒星の大集団」などと呼ばれていた.近年の銀河研究の
発展によって「銀河」の呼称はすっかり熟した感がある.
 さて,銀河の研究のためには広い視野を持つ望遠鏡が不可欠であるが,そのような望遠
鏡として「シュミット式望遠鏡」が発明された.そして日本では1974年,長野県の木曽観
測所にこれが設置され,日本での銀河研究が本格化することとなった.これらの研究の一
環として,高エネルギーの光,すなわち「紫外線」を強く発する銀河の探査が,高瀬文四
郎先生によって始められた.これはこの頃,中心部からたいへん高エネルギーの放射を発
している「クエーサー」などの銀河が次々と発見されたことが一つのきっかけとなってい
る.
 この探査は,1984年の最初の出版から2010年の最終の出版まで約四半世紀続けられ,広
い天域から9908個の紫外線の強い銀河を確認した.この銀河のリスト,すなわち銀河カタ
ログは,前半と後半の2部に別れ,前半は高瀬先生,後半は宮内良子さんが中心になって
探査を行った.講演者(中嶋)は,これらのカタログを統合整備し公開する作業からこの
プロジェクトに参加し,現在は宮内さんとともにその後の発展的研究を行っている.
 講演では,このカタログの成果を紹介し,またそこでリストアップされたさまざまな銀
河の姿を,SDSS サーベイの画像を利用してご覧に入れたい.