毛利衛宇宙記念館や国立科学博物館などでは「宇宙での時の流れ」がテーマにされて解説されることがあるようです。不老不死は人類の願いであり、女性にとって年を取りたくない、というのは永遠のテーマでもあります。
そこで、「宇宙では歳を取らないのか?」という説にとても興味を持ちましたので、調べてみました。
未来にしかいけないタイムマシン
例えば宇宙旅行をしようと思うと、何光年という距離を移動するため、光速に近い速度で何年も何十年も旅することになります。機体が光速に近づくと、地球上に比べて時間の流れが遅くなります。
もちろん内部の人間は全く気がつきません。そして彼らの時間で10年後、やっと地球に戻ると、地球上は数百年経過している、というような事になるわけです。
俗に言う「ウラシマ効果」と呼ばれるもののようです。
ウラシマ効果とは?
昔話の浦島太郎は、亀を助けに海の中の竜宮城へ訪れました。乙姫様に歓迎され、数日間過ごし地上に戻ってみると・・・、そこは、竜宮城へ訪れる以前とは全く異なる時代でした。
そう、浦島太郎が竜宮城で過ごした僅かな時間が、地上では何十年もの時が経っていたのです。そして、乙姫様にもらった玉手箱を開けると、浦島太郎の容姿はみるみるうちにおじいさんになってしまったのです・・・。
この昔話と同じような現象が、アインシュタインの相対性理論で述べられています。
話は逸れますが、浦島太郎にまつわるあれこれ
浦島太郎のルーツは8世紀にはじまる
昔話の浦島太郎はのルーツはとても古く、8世紀の文献である「日本書紀」や「万葉集」「丹後国風土記」にも記述があります。今日知られるようになったのは、一寸法師などが収められた室町時代の「御伽草子」からと言われています。
実在する人物だったという伝説があった!
8世紀に書かれた浦島物語は、実在の人物の実体験に基づく伝説だと主張する人もいる。フジテレビの番組「奇跡体験!アンビリーバボー」は、2000年9月14日に、浦島伝説は、日本から南東へ3700キロ離れたところにあるミクロネシアのポナペ島に潮流で漂着して、そこから帰還した漁師の体験が元になった話だという説を放送した。
出典 http://www.systemicsarchive.com
番組によると、ポナペ島南東の海底に「カーニムエイソ」という海域があり、そのエリアは、強い磁気により時間の感覚がなくなってしまうとのこと。さらに、この地域には、次のような伝説があります。
昔、ある男が海を泳いでいると亀に出会い、泳いでついていくと海底都市をみつけたというのだ。(聖なる都市)という意味のカーニムエイソは、むやみに話をすると祟りがあると言われている。さらに彼の次の言葉に、我々は鳥肌が立ってしまった。
「その海底にあるカーニムエイソでは、時間の感覚がなくなってしまうんです」。
まさに「浦島太郎」伝説そのものの話ですね。さらに、このカーニムエイソの先にはカップ島という小さな島があり、そこはその昔「ウラノシマ」と呼ばれていたということです。
浦島太郎が竜宮城へ行っていた期間は?
浦島太郎の文献によると、竜宮城へ行っていた時間は諸説あります。ある時は10日間と言われ、3年間で地上へ戻ると300年間・・・また700年もの時が経過していたという説もあります。
いったいどれが本当なのでしょうか?
御伽草子にはこう書かれている
丹後の国に浦島太郎という年の頃24、5の男がいた。ある日、釣りに出かけたところ、亀がかかったが「ここで殺してしまうのはかわいそうだ。恩を忘れるなよ」と逃がしてやった。
数日後、一人の女人が舟で浜に漕ぎ寄せ、やんごとなき使いとして太郎を迎えに来た。姫が亀を逃がしてくれた礼をしたい旨を伝え、太郎はその女人と舟に乗り大きな宮殿に迎えられる。
ここで姫と三年暮らし、太郎は残してきた両親が心配になり帰りたいと申し出た。姫は自分は実は太郎に助けられた亀であったことを明かし、玉手箱を手渡した。太郎は元住んでいた浜にたどり着くが、村は消え果てていた。
老人に浦島太郎の事を尋ねると、浦島太郎は700年も昔の人で、近くにある古い塚が太郎の両親の墓だと教えられた。太郎が姫と3年暮らしていた間に、地上では七百年もの年月が経っていたのであった。
絶望した太郎が玉手箱を開けると、たちまち老人に・・・。その後、鶴になって山へ飛び去って行ったと言われています。浦島が竜宮城へ行っていた3年間、地上に戻ると700年もの時が経過していた、、、というのは、相対性理論の原理による計算結果とほぼ同じ時間経過だという説もあります。
話は戻りますが、
アインシュタインの「相対性理論」とは何か?
特殊相対性理論にはいくつかの結論があります。
■速く動くと、時間の経過がゆっくりになる
■速く動くと、周りが縮んで見える
■速く動くと、重くなる
■質量はエネルギーである
地球上の全人類にとって1日は24時間ですね。すべての人にとって時間は公平に過ぎていくように見えます。
ところが、光に近い高速で飛ぶロケットの中では時間はゆっくりと経過します。結果、ロケットで10年間、宇宙旅行をしてきた人が地上に帰ってきたとすると、地球では何十年もが過ぎていたという現象が起こります。(※計算上)
相対性理論『光速度の不変の原理』
例えば、今あなたが光速(秒速30万km)で移動するロケットに乗っているとします。その横を、平行して光(秒速30万km)が飛んでいるとしましょう。 さてこのとき、あなたから光はどのように見えるでしょうか?
普通ならば、時速30kmで走っている自動車の横を時速30kmで走っている車が走れば、お互いにお互いが止まっているように見えます。しかし、光は違います。なんと、ロケットから見ると、光は秒速330万kmで飛んでいるように見えるのです。
つまり、1秒後には光ははるか30万km先のかなたにある、と言うわけです。
1秒後に30万キロ先…想像できません。
ロケットの速度
ロケットに対して、地球とAという星があるとします。A星は静止していると考えると、ロケット内から見た地球からA星間の距離は、
星間距離(光年)=10/γ=10/22.366=0.447(光年)
という距離が出ます。そして、次の計算では、約164日で10光年を走ってしまうという結果に。
ロケットは、光速の99.9%で走る。光速は、1光年/年という速度である。
従って、
星間を走る時間(年)=(距離)/(速度)=0.447/0.999=0.448(年)≒164(日)
※約164日で、10光年を走ってしまうことになる。
う~ん。計算式は難しいので、結果だけを参考にしてください。
宇宙では歳を取らないってホント?
光の速さの90%の速さのロケットに例えるといます。このロケットの中の人の1秒は、外側の人の0.44倍になっていましたね。
この地球上とロケットの中で同時に生まれた二人を考えると、地球上の人が45才のときに、ロケットの中の人は20才になっています。つまり、ロケットの中の人の方が年をとらないことになります。
この話、計算上ではこうなります。女性にとって興味深い話ですね。話は逸れますが、ロケットの無重力状態の中で、肌のたるみなどもなくなるのでしょうか?(笑)
日本人宇宙飛行士で滞在期間最長記録を持つ「若田光一」さん
日本人の歴代宇宙飛行士では、若田光一さんが2013年11月7日、ソユーズ宇宙船に搭乗し4度目の宇宙旅行へ出発。約6か月間の任務を務めました。過去4度の宇宙滞在期間は347日8時間32分で、日本人最長記録です。
宇宙旅行の滞在期間が長期になればなるほど、地球上との時間経過の差が生じ、歳を取らない・・・ということになるのでしょうか。
若田さんに『ウラシマ効果』はあったのか?
≪国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中、体調は崩さなかった。だが、無重量状態では体に負荷がかからず、骨や筋肉が急激に衰える。毎日2時間の運動をこなしても、筋力は約2割落ちて一気に20歳も年をとった状態になる。骨量も骨粗鬆症患者の約10倍の速さで減るとされる。≫
若田さんは数ヶ月も宇宙空間で移動していた。しかし、別に光速に近いスピードで移動していたわけではないから、時間のずれはそれほど生じてはいない。せいぜい0.1秒以下のずれだろう。
若田さんの肉体は深刻な浦島現象に晒されている。若田さんの玉手箱は無重力と放射線である。この二つが若田さんを急激に老化させてしまったのである。
2009年7月3日、ソユーズTMA-14に搭乗し移動旅行をした時の若田さんの話によると、約90ミリシーベルトの放射線を被爆したと言われています。大量の放射線を浴びたことで、細胞のDNAが損傷されたことによる老化現象が現れたとのこと。
さいごに
数か月ぶりで地球に帰還した宇宙飛行士は「地上にいる時より歳をとらない」という、とても興味深いこのテーマ。
実際のところ、光速に近いほどのスピードではないし、ほんの数か月の宇宙旅行なのだから、相対性理論の一説を立証するほどには及ばないようです。しかし、若田さんが地球上に帰還する前の宇宙船内での生活で、すでに肉体が老化してウラシマ状態に・・・という落ちがついたようです。