駿台学園天文部の太陽黒点観測


○はじめに
 駿台学園では,1965年11月に日本光学製の20cm屈折望遠鏡を屋上に設置した.
本学園天文部はこの望遠鏡を用いて,1966年4月より太陽黒点のスケッチ観測を行
い,現在に至っている.そこで天文部では,本年3月までの50年間のスケッチデー
タを利用して,50年間の「太陽黒点蝶形図」を作成し,これを日本天文学会春季
年会,ジュニアセッションで報告した.本講演ではこれについて紹介し,またそこ
に見られる近年の太陽黒点の状況について考察する.

○太陽黒点蝶形図について
 「蝶形図」は,太陽黒点の出現状況と太陽面緯度との関係を示す図で,下図のよ
うに縦軸に太陽面緯度,横軸に時間を取って作成する.時間の目盛り単位は地球か
ら見た太陽の自転周期(27.27531日)で,この期間に黒点が出現した緯度の部分を
縦線で表す.これは1904年に,黒点研究で有名なマウンダーが作成した.
 図でわかるように,黒点の数が少なくなる「極小期」を過ぎると,まず南北の高
緯度帯で黒点が出現し,その後それが中・低緯度帯に移動して,極小期に消滅する.
これがちょうど「蝶」の形に見えることから「蝶形図」となった.
 黒点の寿命は数日〜数十日であるため,天候などの状況で欠測日があっても出現
状況は比較的正確に観測することができ,蝶形図は太陽黒点の状況をかなり正確に
表していると考えられる.


      [50年間の蝶形図]

○近年の太陽黒点の出現状況についての考察
 これについては,天文部のジュニアセッション発表内容を,天文部員から紹介し
ていただく.
 報告にもあるように,ここ10年ほどの黒点の出現状況は,それ以前の40年間のも
のとはかなり異なっていて,異常な状況にあるように見える.