2019年7月6日(土)  11:00~12:00 第54回 七夕星を語る会 

恐竜絶滅と隕石衝突,スペースガードなどについて

  日本スペースガード協会 研究員 二村 徳宏 



 夏休み…。皆さんはどのように過ごしますか?海や山、または観光地へ行ったりとたくさんの計画があるかと思います。博物館や科学館に出かける人もいるのではないでしょうか?夏休みには、多くの博物館や科学館で、企画展を実施します。そして、毎年、どこかで必ずと言っていいほどあるのが恐竜をテーマにしたものです。それほど、恐竜は、私たちの興味を引く対象であり、実際に恐竜の化石を目の当たりにすると、それが生きていた時代に思いを馳せ想像力をかきたてられます。しかし、今、地球上を歩く姿を見ることはできません。恐竜は、今から約6,500万年前に絶滅してしまったからです。

 それでは、いったいなぜ、恐竜を含む当時生きていた生物が大量に絶滅してしまったのでしょうか?今から約40年前、ウォルター・アルバレス博士らは、地層の研究から、その原因は巨大隕石衝突であるということを発表しました(Alvarez et al., 1980)。そして後に、この隕石衝突によりできたクレーターがメキシコのユカタン半島にあることがわかりました。これはチクシュルーブ・クレーターと呼ばれています。その後、さまざまな論争を経て、大量絶滅は巨大隕石衝突が原因であることが決着したという内容の論文が発表されました(Schulte et al., 2010)。説誕生から30年後の2010年のことです。今では、多くの書籍やテレビなどで、この説が取り上げられています。おそらく、今年も恐竜の企画展などにおいて、この説明がされていると思います。

 しかし、本当に恐竜絶滅の原因は、巨大隕石衝突によるものだったのでしょうか?確かに、巨大隕石衝突は、生物に大きな被害を与えますが、これにより個体数を大きく減らすことはあっても、すべてが絶えてしまうということはあり得るのでしょうか?恐竜絶滅の原因が巨大隕石衝突であるという結論には、いくつかの疑問があると考えています。本講演では、恐竜絶滅の巨大隕石衝突説の研究の歴史から、その疑問点、さらに恐竜絶滅についての新しいシナリオについてお話します。

 また、私自身は、日本スペースガード協会に所属し、地球に近づいてくる小惑星を監視したり、宇宙開発により発生した宇宙に漂うゴミの観測を行っています。これらの仕事は、私たちの将来にとっても重要なことであると思っています。このような、私たちの仕事についても紹介します。



[参考](中嶋記)
*右上カットは,科学博物館,恐竜百科のページ より.