渡邊先生は太陽研究の第一人者として駿台天文講座でもこれまでたびたびお話をいただいております。今回は、身近な天体としての太陽がこれまでの研究でどこまでその理解が進んだか、基礎的なことがらから最近の研究の成果までをも含めて総括的にお話をいただく予定です。その上で、まだ解明されていない太陽のナゾの一つ、特に「コロナの加熱問題」を取り上げて、その背景や理論の移り変わりなどやや詳しく説明していただきます。これは6月の岡本先生の講演「太陽コロナはなぜ熱いか ー 波の果たす役割」の理解のための予備知識となることを想定しています。
今年度の4月と6月の講演は、それぞれ基礎的な解説と発展的な解説を組み合わせてより高度な天文知識を確実にお伝えしようとする初めての試みです。私たちはまず太陽という天体の基本的な構造を理解した上で、6000度の表面温度で輝く太陽がなぜ百万度という温度の太陽コロナを加熱できるのか、そのナゾの意味を理解する必要があります。そしてそのナゾを説明するカギとして、太陽表面にどのような現象があるか、またその現象がどのようなメカニズムでコロナを加熱するのか、より詳細な知識に基づいてこれらを理解する必要があります。2回の講演でこれを説明する試みにご期待ください。
(中嶋記)