2024年11月16日 第704回 月例天文講座 

ガンマ線バースト観測衛星   HiZ-GUNDAM 計画

東京都市大学 准教授 津村 耕司


 私たちは、宇宙最大の爆発現象であるガンマ線バースト(Gamma-Ray Burst, GRB)を探査するための天文衛星HiZ-GUNDAM (High-z Gamma-ray bursts for Unraveling the Dark Ages Mission) の開発を進めています。HiZ-GUNDAM衛星によりGRBの探査・即時追観測を行い、「初期宇宙探査」と「重力波天文学の推進」を実現することで、「タイムドメイン天文学」と「マルチメッセンジャー天文学」の進展に貢献することを目指しています。HiZ-GUNDAM衛星は、JAXA宇宙科学研究所の公募型小型衛星5号機候補として、2030年代の打上げを目指して検討を進めています。
 HiZ-GUNDAM衛星に搭載された広視野X線モニターでGRBを発見すると、衛星はその方向に自律的に姿勢を変更し、衛星に搭載した可視光・近赤外線望遠鏡で発見したGRBを即時に多波長で追観測することで、その天体までの赤方偏移(距離)を決定し、それらの情報を地上にアラートします。それを受けて、地上の大型望遠鏡を用いてさらに詳細な観測を迅速に行なうようにすることがHiZ-GUNDAM計画のミッションです。
 本講演では、観測対象であるGRBを紹介したのち、HiZ-GUNDAM衛星の構成やGRB探査を通して目指すサイエンスについて紹介します。



参考資料
『天文教育』、2023年9月号、津村先生の記事「ガンマ線バースト探査衛星計画 HiZ-GUNDAM」
『天文月報』、2022年2月号、津村先生の記事「ガリレオ衛星食の掩蔽観測による宇宙赤外線背景放射の測定」
『天文月報』、2019年5月号、津村耕司, 松浦周二 両先生の記事「究極の天文観測の実現を目指す 惑星間空間望遠鏡」
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