太陽が犯人?     常田 佐久(国立天文台)

最近、「太陽に異変発生?」という新聞記事をよく見かけます。実際、太陽観測衛星
「ひので」の観測データを毎日眺めていると、太陽活動は従来になく低調であると感
じますし、黒点の出現が北半球に偏っているなど従来見なれない観測データが集積し
つつあるのも事実です。太陽は本当に異常な状態なのでしょうか? 実は、過去六千
年に太陽から黒点がなくなる現象は何度も発生しており、そのような時は地球がやや
寒冷化していた兆候があるのです。さらに遠い昔の今から約35億年前、地球に生命の
誕生したころ、気温は現在よりやや高かったと言われています。一方、当時の太陽は
現在の明るさの75%程度しかなく、地球は厚い氷で覆われていたはずで、大きな謎と
なっています。太陽は現在46億歳。太陽の誕生から現在まで46億年の太陽史と生命の
誕生・地球環境の関係について考えてみたいと思います。