ディジタルカメラで撮る天体
ニコン 荒井大作先生
(2012年12月15日,月例講演会,中嶋メモ)
*ディジタルカメラの種類と進化
・種類:
ディジタル一眼レフ
ミラーレス一眼
コンパクトディジタル
webカメラ
冷却CCDカメラ
> プリクラ,ドアモニ,などもディジタルカメラ.
・進化:
スチルビデオカメラ時代
1981年 SONY MAVICA
FDに保存,アナログ記録
データ,コントロールなどの信号の規格化が行なわれた.
1988年 Nikon QV-1000C
報道用,38万画素で200万円超.
冷却CCD
1992年 ST-4(SBIG)
世界初の両軸オートガイダー
> 高感度にしたために,天体写真がきれいに写る
ディジタルカメラ時代の始まり
1995年 カシオ QV-10
1/5型CCD 25万画素 65,000円
液晶モニター付き,コンデジ
> Win95 と共にヒット.
1996年 Nikon E2/E2s
Nikon初のディジタル一眼
2/3型CCD,140万画素
1998年 COOLPIX900
Nikonのコンデジ,スイバルタイプ
3倍ズーム
1/2.7型CCD, 130万画素
> その他,OLYMPUS C1400L, C840, 富士フィルム FinePix700
冷却CCDの発展
1999年 ST-8(SBIG) 図参照
オートガイダー用の2つのセンサー付き
ディジタル一眼レフカメラ時代の始まり
1999年 Nikon D1 274万画素 65万円
1998年 Canon D2000 200万画素 198万円
コンパクトディジカメの発展
2000年 Canon IXY DIGITAL
ステンレス外装
1/2.7型CCD, 211万画素,74,800円
2005年 Nikon COOLPIX7900
顔認識AF
3倍ズーム
1/1.8型CCD, 710万画素,50,000円前後
ミラーレスカメラの登場
2008年 Panasonic LUMIX DMC-G1
世界初マイクロフォーザーズ
4/3型Live MOS センサー
1300万画素
2011年 Nikon1 J1
像面位相差AF
1型CMOSセンサー, 1010万画素
さらなる進化 図参照
2012年 Nikon COOLPIX 800C
Android 搭載
1/2.3型CMOSセンサー,1600万画素
2012年 Nikon1 D600
ニコンFXフォーマット最小最軽量
FXフォーマットCMOSセンサー,2426万画素
22万円前後
*各種機能・性能
・ディジタルカメラの基本構造
レンズ,センサー,画像エンジン,液晶
・センサー
CCD(ノイズに強い,動体のゆがみがない,消費電力大)
CMOS(セル毎に増幅が,処理速度速い,作りやすい,ゆがみが生じる)
裏面型CMOS (雑音を減らせる,超高感度特性の改善) 図参照
・素子の超高感度化
コンデジでも ISO 〜6400 (Nikon P310)
> 高感度モノクロで12800
デジ一で ISO 〜12800! (Nikon D4)
> 拡張で204800
.センサーのサイズ 図参照
1/2.3(6.2x4.6mm) 1/1.7(7.6x5.7mm)
CX(1型)(13.2x8.8mm) DX(APS-C)(23.5x15.6mm)
FX(フルサイズ,35mm) (35.9x24.0mm)
・ライブビュー機能
後ろの画面に投影し,拡大もできる > 焦点調整可
・動画撮影機能
フルHD動画(1920x1080 : 30fps)
スローモーション動画(640x240 : 400fps / 320x120 : 1200fps)
微速度動画 作例:天体写真が速く動く
・超高倍率ズームレンズ
Nikon 42倍 24mm〜1000mm EDレンズを4枚用いる
*ディジタルカメラで撮る天体(作例)
・星野・星景 (最も進化したジャンル)
小さなガイド装置,いろいろ
30秒で天の川が (Nikon D50, ISO1600) 図参照
5分露出でバーナードループが (Nikon D90, ISO800)
日収運動の動画撮影,
ISSの動画撮影
・月面・太陽 (最も敷居が低くなったジャンル)
42倍ズームの月面写真 (P510) > 小さなクレータもくっきり
図参照 拡大図
ズームが金環日食に利用される 図参照
> kakaku.com に投稿がたくさん
月面の動画撮影
・惑星 (最もレベルアップしたジャンル)
望遠鏡に接続するには,ミラーレスが振動がなくて良い
木星の作例 図参照
(LX90GPS 20cm/F10, COOLPIX S10, 30fp 18s を合成)
・星雲・星団 (最も色彩豊かになったジャンル)
ISO感度が上がったので,色彩豊かになった.
ガイド装置の向上,天体を捕らえるのも簡単になった
相反則不規がないので,長時間露出でもISOが下がらない.
作例
ε-160 160mm/F3.3, Nikon D90, ISO3600 で2分でM31が 図参照
同上,馬頭星雲 図参照
同上,すばるの星雲もくっきり 図参照
MT-130 130mm/F6.1, Nikon D90, ISO3600 で70秒でM42 図参照
都市近郊でもM42が良く撮れる 図参照
(LX90GPS 20cm/F10, F3.3Reducer, D90, ISO1250, 8sx21枚)
同上で,M46 の中の惑星状星雲が写る 図参照
・彗星・流星 (最もお手軽になったジャンル)
2007年ホームズ彗星が10秒で 図参照 拡大図
(SIGMA 55-200mm, 135mm/F4.5, D50, ISO1600)
ペルセウス流星,30秒で撮れた 図参照
(SIGMA 18-50mm 標準レンズ,D50, ISO1600)
*アマチュア天体写真最前線(ハイアマチュア)
・天体雑誌から見る撮影機材 図参照
太陽が撮れるようになった.
デジタル一眼の利用が多い
> 選択の余地がたいへん増えた
*これからの天体写真
・星空が身近になった
・環境が悪くなって星空は遠くなった
何を撮るのかどこで撮るのか
なぜ撮るのか,何のために撮るのか
> これからも良いカメラを作り続けて行きたい
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質問
*昔の撮影は,いろいろやることがあったが,今のカメラは
簡単すぎて,これでいいのかと思う.
CMOS センサーを大きくしたら?
> 製造業者ではいろいろ試作して,応用を考えている.
D800 は 3600万画素 北斗の写真に子持ち銀河が写っている.
*センサーの今後の改良方向
> ISO感度をあげるよりは低いところの画質を良くしたい.
*35mmの画素数は?ISO 感度の関係は?
> 画素数を上げると画素が小さくなるのでノイズが多くなる.
ただし、同じ大きさで見た場合、画素数が多い方がノイズが
小さく見えるので、絶対的にメリットがある
*天体写真のマーケットの考慮される比率?
> 数では少ない.しかし高度な機能を追求.
最先端のカメラを出すと,最初に天体写真家が使ってくれる.