*自己紹介 東北大で,地球外物質の研究をしています. *はやぶさの経過を振り返って 帰還 2011年、解析結果を発表 現在は、解析研究者の公募中 *はやぶさのまとめ(ビデオー宇宙研にて取得可能) 機器の構成 カプセルの写真 ロケットに格納の状況 打ち上げ 搭載カメラ映像 パドル展開 イオンエンジン噴射 イトカワ接近の状況 イトカワの映像 ー 表面が岩だらけで衝撃 > どこに着地したら良いか タッチダウンの状況 ー ウーメラにしたかったが、 のっぺりしたミューゼスの海になった。 その映像: 砂利のような表面 はやぶさの高度計の記録 ホーンが3回衝突し、北の方にずれて、30分くらい寝そ べっていた。 2回目のタッチダウン 高度計記録は、計画通りの進行、 しかし翌日、ボールの発射がなかったことがわかる。 *苦難の帰り道 帰りのバスが3年後 カプセルの回収の状況 宇宙研のキュレーション設備に、4日後到着(2010/06/18) 中村先生他3名が携わる(報道陣がつめかける) *カプセル開封および解析専用のサンプル処理施設 コンテナの開封は真空の中で。 開封のための特別な装置 > キュレーション設備(右図)藤村先生の解説より 中村が、10日後に行う。 何回もリハーサルして実行。 中には少し地球のガスがあった サンプルキャッチャーはA室、B室に分かれている B室の開封の状況 > 開封の瞬間の映像 ー 一見サンプルは見えない 顕微鏡で見ると、微粒子があった。 石英ガラスの3/1000mmの針で、静電気でピックアップ あまり大変なので、テフロンへらで掻きとり、直接電子顕微鏡へ 拡大画像(塵がたくさん写っている) 電子ビームで組成を調べる *鉱物組成と化学組成 1500個の粒子 ー 5種類の鉱物 (トロイライト、カマサイト、テーナイトは地球にはない) 他はカンラン石、輝石、斜長石 化学組成は、隕石と同じ 5ヶ月後に(11月16日)報道発表 約40資料の初期分析 *つくばの高エ研の放射光X線回折および蛍光X線解析 粒子をそこなうことなく成分がわかる *ダイヤモンドの刃を用いてスライス 電子顕微鏡写真 2種類の輝石のCa量の割合から、温度がわかる > かなり長期間、800℃に加熱されていた。 *なぜ小惑星を研究するか 太陽系形成の標準モデル(右図,講演要旨より) 45億年前の原始太陽系円盤 この時に形成された小天体が、本当に小惑星か? > ほんとうにそうなのかを突き止めたい > どうしてイトカワのような形ができたか? 小惑星は隕石の母天体か > S型小惑星は、反射率などが隕石と異なる [注] S型小惑星はケイ素の多い小惑星(参考:wikipedia) 結論1: イトカワ物質は、隕石のLLコンドライトと同じ物質 [注] コンドライトは、石質隕石(ケイ酸塩鉱物を主要組成 とする隕石)のうち、コンドルールという球粒状構造 を持つ隕石である。 化学組成から、普通コンドライト、炭素質コンドライト、 Rコンドライト、Eコンドライトに分かれる。それらはさ らに、合計12余に細分される。 普通コンドライトは、最も普通の隕石である。金属鉄 (鉄元素ではなく、金属状態の鉄のみ)の量から、鉄が 多い順にH、L、LL(アンホテライト)に分けられる。 (Wikipedia) 反射率の違いは、太陽風照射による宇宙風化作用 > 野口先生の解析:超微細の表面画像 > 硫化鉄などの黒い粉が薄く付いている 陽子の照射が酸化鉄の酸素を取り、鉄金属になる > 黒くなる (JAXA解説ページより) 結論2: 微粒子は、天体内部だ加熱されたものとそうでない ものがあある(800℃で数千万年) > 初期の天体は 26Al の壊変熱 これで800℃になるには、直径20km程度である必要 > これが一時破壊された < 非常に強い衝突の痕跡を 残す粒子がある < 衝撃の発熱で発泡した岩石がある > イトカワが現在の姿になるまでの図 (中村先生のプレスリリースより) *2011年8月26日 サイエンスに発表 (宇宙研プレスリリースより) *まとめ 小惑星は原始天体 イトカワはラブルパイル天体=破砕集積体(はさいしゅうせきたい) *質問 ・小惑星帯がなぜ火星と木星のあいだにあるか? > 答えられない。 カイパーベルト天体を考えると、惑星のほうが異常。 ・宇宙から降り注ぐ「チリ」について. > 小惑星と彗星から放出 0.05mm 1年間に10粒(1坪あたり) 南極で最終できる。高度20kmの偵察用の飛行機ならば集められる ・ボーデの法則(数値4)からすると,小惑星帯に惑星が できたはずだが木星の影響で壊れたのではないか? > その可能性がある。 ・ダイヤモンドカッターの方法 > 固い樹脂に埋めて、削って行く ・イトカワは大きさが小さくなりつつあるか? > 確かに少しずつ削られてゆくが、なくなるようなことはない。 中は数十mの岩が積もったもの。空洞がある。 ・形の制約について. > S型では300km ・はやぶさ2の見込み > 水の存在や,生命の起源などについてわかる. ドラマチックでないことを望む.