*本日の話の概要
・太陽とその活動 ・「ひので」の紹介 ・金星の太陽面通過 ・まとめ*太陽とその活動
・太陽黒点 黒点を最初に観測したのはガリレオだった.(下図1) ガリレオは連続スケッチ観測をしていたので,太陽自転も把握していたと 考えられる. ・太陽のいろいろな画像 下図2の左上から,光球(可視光),光球(磁場分布),彩層,コロナ → これらは,見る光の種類の違いでこのように見える. ・太陽大気の構造 高度と温度分布,密度分布(下図3) → 彩層からコロナに移る所で温度が数百万度に急上昇する. コロナの100万度以上の層はX線で見える. ・太陽からの電磁波放射のグラフ(下図4) 紫外ー赤外の範囲は 6000Kの黒体放射になっている. X線の出方は,静穏時と爆発時で大きく変わる. ・太陽コロナの不思議な世界 磁石の磁力線の図,X線で見たループの磁力線の図(上図5) 磁場と黒点の動画(ひのでホームページより) ・コロナ中のいろいろな活動現象(上図6) 太陽フレア,コロナの質量放出の動画,その2(SOHOのページより) 地球への影響もある. → オーロラ, 送電線に過電流が発生し変電所への影響があった. ・太陽の謎 ー 次のようなことが大きな謎となっている: コロナ中でどうしてフレアなどの活動現象が起きるのか? ー 太陽表面の磁場との関係は? コロナはなぜ高温(100万度以上)なのか? コロナ中の活動現象は地球のまわりにどう影響を与えるか?(宇宙天気) 太陽の活動周期(11年)はなぜ存在するのか? ・地球大気による電磁波の吸収(上図7) X線,紫外線は上空でブロックされる. → これらは宇宙空間から観測する必要. 地表で見える光であっても,高分解能観測や(天候,昼夜に左右されない) 連続観測のために,宇宙空間からの観測が必要. ・飛翔体による太陽観測の歴史 ひのとり(1981-1991),ようこう(1991-2005),ひので(2006- )*「ひので」の紹介(上図8)
・3つの望遠鏡がある: 1) 可視光磁場望遠鏡 (SOT) 2) 極端紫外線撮像分光装置 (EIS) 3) X線望遠鏡 (XRT) 日,米,英の研究機関が協力 ・打ち上げの映像(下図9-11) 2006年9月23日, M-V-7 ロケット, 鹿児島県内之浦より. ・プロミネンスの動画(下図12) → コロナ内を磁力線の波動が伝わってゆく. #ひのでホームページでの解説(動画あり) ・スピキュール(太陽表面に見える針のような構造)の動画(上図13, 動画は略) → この波動で,コロナを加熱できるのではないか. ・Pricise Measurement of Polar Magnetic Field(上図14) 衛星搭載の望遠鏡は,空間分解能が高いので,斜めにしか見られない太陽の「極領域」も 良い精度で観測可能. → 北極点のS磁石の分布の図(塩田大幸,下記報告より) #報告論文 (pdf) → 太陽の北極側では,2008年はS極(青)ばかりだったが2011年にはN極(赤)も見えてきた. → 我々は,太陽磁場の反転を目撃中なのかもしれない. ・太陽全体の磁力線構造の図(上図15,16) → 2重極から4重極構造へと変化しつつある. → 地球への影響が心配. ・黒点が形成される動画(数日の連続撮影)(下図17, 動画は略)*SOTによる金星の太陽面通過
金星の大気の層がはっきりわかる 動画(国立天文台,ひのでのページ) ・「ひので」から見える金星の軌跡予報 衛星が地球の周りを回るため,軌跡が波打っている. (上記動画と同じ,国立天文台,ひのでのページより) ・観測ポインティング計画の策定(上図18) アメリカ,イギリス,ノルウェーを結んで電話会議を行い,観測計画を決める. 策定朝会風景(上図19) ・ひので,データ受信局の分布図(上図20) 世界中にたくさんの受信局があるので,スピーディーにダウンリンクできる. 早いときは当日の夕方に公開できた. ・X線による金星通過観測動画 動画(国立天文台,ひのでのページ)*天文現象を使ったひので望遠鏡の特性研究
・日食の映像(上図21-23) 散乱光の効果のestimateができる. → 散乱光のない映像が得られた! ・水星の太陽面通過の映像 8/Nov/2006 ひのでホームページへ ・2011年1月の金環日食 (今回でなく)前回2011年の金環日食 ひのでホームページへ*まとめ
・太陽研究と周辺分野のつながり 恒星の天文学 宇宙プラズマ 宇宙天気予報*おわりに
JAXA宇宙科学研究所,特別公開 7月27−28日 ひので web ページ*質問
・金星の写真でまわりに見えているものは? > 金星の雲の層が見えている ・コロナの高温の謎はどうなっているか? > 次の計画 Solar-C で,彩層の磁場情報を見て研究する. コロナと彩層の関連性を,高分解能のコロナ像で見る. ・空間分解能? > 1ピクセル=1秒 ・スピキュールの高さ? > 3000km以上. コロナに入っていると思われる. ISASニュース,ひので特集