世界最大の電波望遠鏡:SKA
2015年2月21日(土),駿台学園,月例天文講座, 熊本大学、高橋慶太郎 先生
本講演では次世代電波望遠鏡Square Kilometre Array (SKA)とそれによって明らかに
なるであろう宇宙の謎について紹介する。SKAは直径15メートルの電波望遠鏡を2000台
配置し互いに接続することによって巨大な望遠鏡として機能する装置であり、オーストラリア
と南アフリカの広大な土地に建設され2020年に稼働する予定である。
SKAは宇宙の歴史の中の最後のフロンティアである「暗黒時代」「初代天体形成」
「再電離」の謎を解き明かすことを目指している。これらは宇宙誕生後40万年から
10億年の期間に対応し、中性水素ガスから初代星が生まれ、宇宙全体のガスを電離し
ていく時期である。
SKAが取り組むもう1つの大きな問題は一般相対性理論の検証である。一般相対性理論
はアインシュタインによって提唱されてから100年がたち、これまで様々な実験や観測
によって検証されてきたが、未だ不十分な点がある。SKAは一般相対性理論が予言する重力波
を直接検出したり、銀河系中心の巨大ブラックホールの形を測ったりすることによって
一般相対性理論を検証することを目指している。これを可能にするのはパルサーという
1秒間に1000回も回転する極限的な天体である。
講演ではまず宇宙を探る最も基本的な手段である電磁波について解説し、様々な電磁波
で宇宙がどう見えるか、何が見えるかを紹介する。続いて電波望遠鏡と干渉計のしくみを
解説してSKAがどのような望遠鏡であるのかを見ていく。そしてSKAがターゲットとする
2つの大きな謎、宇宙の暗黒時代から再電離のプロセスと一般相対性理論の検証について
平易に解説する。
1、宇宙を「見る」
1)電磁波
2)様々な電磁波で見た宇宙
2、世界最大の電波望遠鏡:SKA
1)電波望遠鏡
2)干渉計
3)SKA
3、宇宙の暗黒時代から再電離へ
1)宇宙の歴史をひもとく
2)宇宙の暗黒時代
3)初代星と初代ブラックホール
4)再電離
4、パルサーと一般相対性理論
1)パルサー
2)一般相対性理論
3)重力波をとらえる
4)ブラックホールはどんな形をしているのか
5、まとめ
SKAイメージ図