※ 画像をクリックすると拡大します(一部を除く). ◎はじめに 20年前,1995年に初めて系外惑星が発見された. → 近年研究が大きく進展したので,その話を. ◎太陽系外惑星の発見 20年以上前には,太陽系以外の恒星の周りに惑星があるか ないかは全くわからなかった. *系外惑星発見史 最初は1995年のペガスス座51番星 一つ見つかって次々と発見されるようになった. (当たり前と思っていたことが当たり前でなかった) 今は3000個くらい 惑星系としては,惑星が7個あるものまで見つかっている. *発見の方法 (右図のとおり.グラフはトランジットの時の明るさの変化) 太陽系の木星を考えると,トランジットが起こるとしても12年 に一度であり,トランジットでそう簡単に惑星が発見されるとは 考えられなかった.ところが最初の発見の惑星は4日で一回りで, あり得ないと思われていたことが実際にあった. *ケプラー探査機 はくちょう座の一部の狭い天域で,10万個の星の明るさの変化 をひたすら観測し,トランジット法で惑星を発見する. *現時点でわかっていること (右図のとおり.) 4年の観測で3割以上だから,もっと観測すればほとんど全ての 恒星が惑星をもつ可能性すらある. *ハビタブルゾーンの考え方の図 実際に発見された惑星が図に記入してある. *ハビタブル惑星候補 Kepler-22b 太陽系と比較する *バイオマーカーについて (右図のとおり.) ◎天文学から「宇宙生物学」へ (右図のとおり.) 地球を外から観測したらどう見えるか. *木星探査機「ガリレオ」による地球観測 前記のいろいろなバイオマーカーについて,地球外から実際に 観測してみた. → 地球には生命の兆候がある! *地球の近赤外スペクトル 酸素やメタンが見られる. *レッドエッジ 場所にもよるが,緑の多いところでは明らかにレッドエッジが ある. *地球の電波信号 上図は自然発生の電波,下図は人工的な電波の拡大図 *ボイジャー1号による,太陽系外縁からの惑星撮影 惑星は,太陽系の近くで見てもごく小さい.(まして遠方からは) 「ペイル・ブルー・ドット」の由来 *ペイル・ブルー・ドットとボイジャー1号の図 *土星探査機「カッシーニ」から見た地球と月 太陽が土星に隠される時を選んで撮影. 撮影は予告され,約2万人が土星を見ていたと考えられる. ◎もうひとつの地球の観測 *Starshade project (プリンストン大) 明るい中心星を隠して,惑星を観測 → NASA 動画 *「ドット」にしか見えない惑星をどのように観測するか 自転に伴う色の変化などは見える. *自転による色の変化を,地球でシミュレート *シミュレーションの結果から,経度方向のいろいろな要素の分布 を推定. → 雲が難しい. *植物の色の予想図 太陽系の太陽(G型星)では,植物の色は緑であるが,他のスペ クトル型の中心恒星では色が異なるのではないか. ◎地球外文明はあるのか? ドレイクの式の説明(略) 最初の4項についてはかなりわかってきた. 後の4項が難しい. *SETI計画 知的生命からの電波信号を捕らえる. 1960年,オズマ計画 1974年,アレシボ・メッセージ → このようなことは危険ではないか,との批判もある. *可視光SETI 100光年先の100Wのレーザー光ならば十分検出可能 ◎まとめ *天文学から「宇宙生物学」へ 近年の惑星の発見で,世界観の大変化が起こった. *予想も出来ない展開が → 地球外文明の発見が先か,人類の滅亡が先か. ※宇宙生物学の心は「星の王子様」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 質問 *ほとんどの星は変光している.どのように区別するか? > トランジットによる変光は特徴的な時間変動パターンを示す ことを利用して区別(右図). > 実際の変光星も膨大な数が見つかっている. *(もうひとつのご専門の)相対論との関係は? > まったく別. *ハビタブルゾーンについて? > 「衛星」のハビタブルゾーンというのも考えられるが, 系外「衛星」はまだ発見されていない. (太陽系の)衛星探査の宇宙生物学もとても重要. *地球外に生命があると信じて研究されているか? > 物理学をやっていると「物理的にはありえない」ということはわかる. しかしまた「あるかないかわからない」というものは,これまでの天文 観測でほとんど実際に発見されている. たとえばブラックホール(方程式から解はすぐ出るが,現実にはあり得 ないだろうと思われていた). 中性子の星も,常識的にはないだろうと思われていた. > 「星の王子様」の文章が宇宙生物学者の気持ちをよく表している.