2016年6月18日 第603回 月例天文講座
超新星の出現をとらえる
天体写真家 広瀬 洋治
1. 新天体発見は、アマチュア天文家の夢である。
アマチュアで発見可能な天体には、超新星、新星、彗星がある。
彗星は人工衛星やプロのサーベイチームによってほとんど発見されてしまうが、時々熱心なアマチュアによって発見されることもある。以前は小惑星もターゲットになっていたが、明るいものは発見され尽くされ、アマチュアの発見は困難になっている。
新星は、デジタル一眼レフカメラと小型赤道儀があれば捜索可能だが、綺麗な空と開けた撮影場所が必要である。
超新星捜索は、冷却CCDカメラと自動導入可能な天体望遠鏡を使えば、街中でもおこなうことができる。
2. 今日は、私の行っている超新星捜索の方法とPSN(超新星らしき天体)の測定方法、検査方法、報告の仕方などをお話ししたい。
3. 2016年1月1日から超新星らしき天体を発見した場合の報告の仕方が変わった。TNS(Transient Name Server)への直接報告というやり方である。
今までは、CBAT TOCPへ報告し(直接報告するには認証を得る必要がある。日本では中野主一さんが代行してくれていた)世界中のどこかの天文台がスペクトルを撮り、超新星であることが確定すると符号(SN2002ap等)が付けられていた。しかし、プロの超新星捜索チームがいくつも設立され、大量な超新星が発見されるようになると、それらが独自の番号を付けたり、ATel(The Astronomer’s Telegram)へ報告しIAU CBATへは報告されないこともあった。この混乱を解消するため、TNSが作られたようだ。
TNSの利用方法もお話ししたい。
参考資料
* CBAT:IAU Central Bureau for astronomical Telegrams
* TOCP:CBAT "Transient Objects Confirmation Page"
* David Bishop:http://www.rochesterastronomy.org/snimages/ 次へ移転中
http://www.supernova.thistlethwaites.com/snimages/
* 千葉の野口さんがまとめてくれたTNSの利用ガイド:
http://park8.wakwak.com/~ngc/images/TNS_GUIDE_20160222.pdf
主な著書
* 天文おもしろミニ知識(誠文堂新光社)
* 月のかんさつ(講談社)
* 星のかんさつ(講談社)
* 星と宇宙のふしぎ(実業之日本社)
駿台天文講座講演記録
NO 期 年度 回 月日 題 目
1 20 S60 231 6.15 写真で見る星座
2 22 S62 257 8.15 天体写真を撮る
3 39 H16 460 7.17 超新星を探る
4 44 H21 519 6.20 皆既日食を撮影しよう