10月27日(土)、山岸明彦先生講演記録   (中嶋作成)

アストロバイオロジー: 宇宙における生命の起源と探査 


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◎宇宙に生命を探す.
  いるとすればどんな生き物だろうか?

  銀河系の中,暗黒星雲 → いろいろなものが生まれている
  ここは分子の密度が高い→ 濃いところが集まると星ができる



  宇宙にはどんな元素があるか?
  → 星の一生の最後,超新星爆発で,いろいろな元素が
    ばらまかれる.




  どんな元素がどれくらいあるか?






  我々の体の元素






  これを宇宙の元素と比べる 
  → 宇宙のありきたりな元素でできている
   → 他の星へ行っても,同じような元素で生命が
     できているであろう


  大腸菌の分子構成  
   水70%,たんぱく質15%,・・・
    有機物中心

  有機物は生命からは簡単にできるが,自然には難しい


  宇宙の中での有機物 
  → 暗黒星雲の中でできる.
   → 隕石,彗星になる.→ あまりないので調べにくい.

  → 宇宙のチリはたくさんふりそそいでいる. 
   → これを調べよう.→「たんぽぽ計画」



◎たんぽぽ計画    微生物が惑星間を移動したとする説   →「パンスペルミア説」    → これも調べよう.   たんぽぽ計画の目標   実験装置を,スペースX社のロケットで打ち上げ   → スペースステーションの,日本の実験棟の曝露部で,     簡易曝露実験装置「エックスハム」に取り付ける.   スペースステーション    手前が日本の実験棟   曝露部   実験装置   → 箱の中にエアロゲル(ガラスの成分のスポンジ)     密度の薄いもの [質問](後出)   エックスハムをエアロックへ.   エックスハムをエアロックから外へ   「きぼう」曝露部   5月曝露開始 翌年8月回収   サンプルが帰還   エアロゲルを顕微鏡で検査   宇宙塵がみつかった   パンスペルミアが可能かどうか調べる.   微生物を宇宙の放射線に曝露させて,   生き残るかどうか調べる.   大変強い微生物を使う   放射性耐性菌の紫外線照射   → 0.5mm の厚みのあるサンプルは生き残る   三年のテストの結果が出ている   たんぽぽ計画は,参加26機関 [質問](後出)
◎火星生命探査計画   最初は否定的だったが,少し調べて肯定的になった.   海があった可能性が高い    海があれば大気も磁場も火山もあった.   → 地球と同じ   地下には氷がありそう   有機物もたくさん見つかった   探査車が数百日でメタンを検出(ゲールクレータ近く)    メタンを食べる生物もいる   硫化水素 硫化鉄の存在    これを食べる生物もある   生存環境 重力,温度,気圧,CO2,ガンマ線,        紫外線,過塩素酸塩   → いずれも生命可能   一番いそうなところ リカリングスロープリニア    クレータ斜面に水の可能性   南極に近いところ レーダーで塩水らしいものが見つかった   探査原理    1.有機物     2.膜に包まれている    3.酵素活性   蛍光顕微鏡   → いろいろな色素で上記の区別ができる   これらを自動で行う装置を開発中 探査ロボットで運ぶ    2020年代後半に実現予定
質問: 密度の薄いエアロゲルでは捕まえられないのでは?    > 密度が濃いと衝突のエネルギーで分解してしまう. 質問: パンスペルミア物質は,目的をもって移動する     わけではないから,捕まえにくい?    > 宇宙物質の加速現象はある.      あとは確率の問題 大部分は無駄に. 質問: 死んだ分子が内部を保護するか?    > 保護する 質問: 生命の定義?    > 研究者によってさまざま      日本では,膜で囲まれている,代謝,複製      世界的には, 化学的システムで,ダーウィン進化するもの      我々の考え, 有機物,膜につつまれている,酵素活性 質問: 火星のスロープ,傾いているところにどうやってとりつく?    > クレータの上からひもで吊り下げる.      30度くらいを登れる探査ロボットを開発.      ドローン(アメリカではすでに開発) 質問: 新聞に報道された紫外線に対する耐性の実験は,同じものか?    > はい