回 | 月日 | 講座題目 | 講師(敬称略) | 参考資料 |
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637 | 4月20日(土) | 人類の未来と宇宙を考える | 平林 久 | 講演要旨 |
638 | 5月18日(土) | 天の川で「見えない」ブラックホール を探す | 岡 朋治 | 講演要旨 |
639 | 6月15日(土) | スーパーコンピューター「アテルイII」 で迫る宇宙の謎 | 滝脇 知也 | 講演要旨 |
640 | 7月20日(土) | 水沢緯度観測所の歴史と文化遺産 | 亀谷 收 | 講演要旨 |
641 | 8月17日(土) | 走っているものは時間が遅れ,長さが縮む ― ローレンツ博士の業績と人柄 | 中嶋 浩一 | 講演要旨 |
642 | 9月21日(土) | 重力波天文学,芽生えから開花へ | 正田 亜八香 | 講演要旨、講演記録 |
643 | 10月19日(土) | 京1000年の天文学街道 | 小山 勝二 | 講演要旨 |
644 | 11月16日(土) | 宇宙をうたう --短歌のなかの天体や探査機 | 松村 由利子 | 講演要旨,天文の歌 (pdf, A4横位置) |
645 | 12月21日(土) | 人類が初めて捉えたブラックホールの姿 | 秦 和弘 | 講演要旨 |
646 | 2020年 1月18日(土) | 暦の話題 | 小澤 潤 | 講演要旨 |
647 | 2月15日(土) | 人類の宇宙観の変遷 | 中嶋 浩一 | 講演要旨, 講演内容 |
648 | 3月21日(土) 延期 | (仮題)地球・生命の起源と進化 | 井田 茂 | 講演要旨(準備中) |
講師(敬称略) | 所属 | 参考資料 |
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平林 久 | JAXA 宇宙科学研究所 名誉教授 | 宇宙研,紹介ページ |
岡 朋治 | 慶應義塾大学理工学部 教授 | 慶応大,紹介ページ 日経サイエンス,2017年8月号より |
滝脇 知也 | 国立天文台科学研究部 助教 | 国立天文台ニュース,2018年8月号 ホームページ |
亀谷 收 | 国立天文台水沢VLBI観測所 助教 | 国立天文台ニュース,2017年12月号 |
中嶋 浩一 | 一橋大学 名誉教授 | 2018年度,講演記録 |
正田 亜八香 | 国立天文台重力波プロジェクト推進室 特任助教 | 国立天文台ニュース,2018年2月号 |
小山 勝二 | 京都大学 名誉教授 | ホームページ |
松村 由利子 | 歌人 | Amazon 紹介ページ |
秦 和弘 | 国立天文台 水沢VLBI観測所 助教 | ホームページ |
小澤 潤 | 日本カレンダー暦文化振興協会 事務局長 | 日本カレンダー暦文化振興協会 ホームページ |
中嶋 浩一 | 一橋大学 名誉教授 | |
井田 茂 | 東京工業大学 地球生命研究所 教授 | 東工大地球生命研究所ページ |
(紹介文は本ページ管理者中嶋の作成になるものであり,講演者との打ち合わせなど により随時変更されます. 以下は, 4月28日 更新のもの.年度後半の予定については、 7月4日現在準備中.) *4月20日,平林 久 先生: =========== 昨年度のご紹介文 ============ 平林先生は,電波天文学を中心とした天文学研究で活躍して来られました.JAXA,宇宙 科学研究所におられた時には,大きな電波望遠鏡を宇宙に打ち上げて大規模な電波干渉計 を構成する「VSOP計画」(衛星名は「はるか」)を指揮され,大きな成果を収められまし た.(「電波干渉計」は,複数の電波望遠鏡を束ねて高精度電波観測を行うこと.) 他方でまた,電波望遠鏡を駆使して遠くの宇宙の地球外文明からの信号を探ろうという 「SETI計画」にも関わっておられます. 平林先生は,駿台学園の天文講座などにも長年ご尽力いただいており,先生のお話しに は定評があります.近著『超巨大ブラックホールに迫る―「はるか」が創った3万㎞の瞳 』 など,著書多数. ================================= 宇宙の研究や科学技術が長足の進歩を遂げつつある今,「地球外文明」,「AIとシンギュ ラリティ」,「神に近づく超人類」などなど,人類の未来を問うような議論が起こりつつ あります.新年度の天文講座の開講に当たって,私たちが宇宙を研究する意味,人類の未来 とのかかわりなどについて,平林先生にお話しいただきたいと思います. *5月18日,岡 朋治 先生 : 岡先生は電波天文学を武器に,銀河系内のいろいろなブラックホールを研究・発見されて います.以下は,岡先生のホームページからの引用です: ================================= 宇宙電波スペクトル線観測に基づいて、銀河系の構造、銀河系中心の活動性、 星間物質の進化と星形成活動との関連について研究を進めています。 最近は特に、中心核超巨大ブラックホールの起源解明を目指して、 国内外の大型共同利用観測装置を駆使した観測研究を推進しています。 ================================= 岡先生には,電波観測からわかる銀河系内のさまざまな現象,「宇宙竜巻」や「中質量 ブラックホール」,「野良ブラックホール」などのお話をしていただく予定です.また, 最近のニュース「プラックホールシャドウの観測」のお話もあります. *6月15日,滝脇 知也 先生: 滝脇先生は,超新星爆発のメカニズムをコンピュータシミュレーションによって研究され ています.お使いのコンピュータは国立天文台のスーパーコンピュータですが,これは 「アテルイ」という名前がついています.アテルイ(阿弖流為)は,このスパコンが置かれ ている岩手県水沢地方で,平安時代初期,活躍した蝦夷の軍事指導者の名前です. 2018年6月に,このアテルイがより高性能のスパコンに更新され,「アテルイII」となり ました.滝脇先生には,これらのスパコンの活躍状況,およびご専門のコンピュータシミュ レーションのお話をしていただく予定です. *7月20日,亀谷 收 先生: 上記のアテルイが置かれているのは,岩手県奥州市水沢の「国立天文台水沢VLBI観測所」 ですが,これは1899年に設立された「緯度観測所」が,1988年の国立天文台発足に伴って そこに統合され,さらに「水沢VERA観測所」,「水沢VLBI観測所」となったものです. この旧水沢緯度観測所の4つの建物が,2017年10月に登録有形文化財に指定されました. 今回,亀谷先生に,これらの文化財登録の意義,および水沢緯度観測所が日本の天文学の 発展に果たした役割などについてお話しいただきます.日本史の教科書にも出てくる「Z項 の発見」は,この観測所で行われました. なお亀谷先生のご専門は電波天文学で,以下は研究者紹介のホームページからの引用です: ===================================== 国立天文台が建設したVERAを使い、銀河系内星生成領域や晩期型星に付随 するメーザー源の詳細構造・運動・位置を研究。また、大質量星を中心とする 星生成過程の研究も行っている。 パルサーの電波観測にも研究対象を広げている。 ===================================== ご講演では,ご専門の電波天文学と,それを駆使した水沢観測所のVERA観測についてもお話し いただきます. *8月17日,中嶋 浩一: 相対性理論というと,「動いているものの中では時間が遅れる,長さが縮む」などという ことが問題となり,この不思議な現象をどう理解するかということが,多くの解説書のテー マとなっています.そしてこれはアインシュタイン博士の業績のように扱われていますが, 本当はオランダのヘンドリック・ローレンツ博士が最初に発見したことなのです. 講演では,この「時間の遅れ」などをどのように理解するかを改めて解説しつつ,発見者 のローレンツ博士を紹介したいと思います.ローレンツ博士は,オランダの発展のためにも 尽力し,当地では広く尊敬を集めた人です.博士の葬儀の際には,その死を悼んで,オランダ の電信電話会社が3分間,通話をストップした,ということです. *9月21日,正田 亜八香 先生: 日本の重力波観測装置「KAGRA」は,現在着々と整備が進められ,2019年内には試験観測が 始まる予定です.KAGRA は,振動の少ない地下トンネルに設置されていること,極低温で運用 されることなど,これまでの米国・イタリアの装置にない最新鋭の設備を有しており,新たな 活躍が期待されます. 正田先生は,これらの装置開発・設置の最前線で活躍しておられる気鋭の若手研究者です. お話しでは,重力波観測の意義,KAGRA の技術の特徴,整備の進展状況,期待される成果など についてお話しいただく予定です. *10月19日, 小山 勝二 先生: 小山先生は、宇宙科学研究所、京都大学などでX線天文学の研究をされ、多くの研究業績を 上げられました。また京都大学を定年退職された後は、「京1000年の天文学街道」という形で 京都に関係した宇宙、歴史、文学、京都学の史蹟歩きのお世話をされ、一般への天文学普及の 活動もしておられます。その関係で、最近話題の「明月記」や「安倍晴明」なども小山先生の 解説テーマとなっております。 「明月記」は本年、日本天文学会の選定する第一回日本天文遺産に選ばれて話題になってお ります。また「安倍晴明」は、昨年度駿台天文講座の暦の話題でも引用されましたが、他に、 京都大学の新設望遠鏡が「せいめい望遠鏡」と命名されるなど、これも話題になっています。 小山先生には、これらの話題を中心に、X線天文学をも含めてお話しいただく予定です。 *11月16日, 松村 由利子 先生: (Amazon の紹介文)歌人、フリーライター。福岡市生まれ。朝日新聞、毎日新聞記者を経て フリーランスに。2010年春から、沖縄・石垣島に住む。 科学の分野を詠った短歌を紹介したエッセイ集『31文字のなかの科学』(NTT出版)で、 第10回科学ジャーナリスト賞受賞。『与謝野晶子』(中央公論新社)は、ワーキングマザー としての与謝野晶子に焦点を当て、第5回平塚らいてう賞を受賞(現在品切れ)。 その他、ノンフィクション『お嬢さん、空を飛ぶ-ー草創期の飛行機を巡る物語』(NTT出版)、 子どもを詠った短歌を紹介したエッセイ集『子育てをうたう』(福音館書店)、児童文学につい て綴った『少年少女のための文学全集があったころ』(人文書院)、湯川秀樹や斎藤茂吉らを取り 上げた『短歌を詠む科学者たち』(春秋社)など。 (以下略) *12月21日, 秦 和弘 先生: 本年4月10日夜のテレビ記者会見で秦先生の解説場面をご覧になった方もおられると思います。 この会見は「世界初ブラックホール撮影成功 国立天文台などのチームが会見」というものでした。 会見では、オレンジ色のドーナツのような映像が示され、その真ん中の黒い穴の中心にブラック ホールがある、ということでした。この黒い穴が見えるのは、ブラックホールがその周囲にある 光を吸い込んでしまうからで、この黒い影を「ブラックホールシャドウ」と呼びます。 このブラックホールは、おとめ座のM87銀河の中心にあり、大きさはこのブラックホールシャドウ の半分くらい、また質量は太陽の65億倍、ということもわかりました。 この観測は、世界各地の電波望遠鏡を結んだ国際共同観測で行われ、「EHTプロジェクト」と呼 ばれますが、秦先生は日本の研究グループの中心として活躍してこられました。今回秦先生に、 このプロジェクトとその観測成果の詳細をお話しいただく予定です。 なお秦先生にはまた、2015年の駿台北軽井沢天文講座でも解説していただいております。 2020年 *1月18日, 小澤 潤 先生: 2019年は、元号の改定もあってカレンダー業界にはいろいろな話題がありました。またカレンダー は「暦(こよみ)」との関係で天文学にも深い関わりがあります。実際カレンダーは、天文台が計算 に基づいて春分・秋分の日を発表するまでは休日掲載の関係もあって発行ができない、という ことになっています。 このようなカレンダーにまつわるいろいろな話題を、カレンダー出版の仕事に携わっておられる 小澤 潤先生にお話しいただきます。小澤先生は、日本カレンダー暦文化振興協会で事務局長を しておられます。 *2月15日, 中嶋 浩一: 「人類の宇宙観の歴史」については、放送大学の講義に基づいて出版された『宇宙観5000年史 ― 人類は宇宙をどうみてきたか』(中村 士, 岡村 定矩 著、東大出版会)、あるいは 『人は宇宙を どのように考えてきたか ― 神話から加速膨張宇宙にいたる宇宙論の物語』(Helge G. Kragh, 竹内 努 他訳、共立出版)などの好著があります。これを見ると、人類はいかにして現在の 「138億年のビッグバン宇宙論」に到達したかがわかると同時にまた、紀元前のギリシャなどで いかに高度な宇宙論があったか、ということもわかり、宇宙論の発展の歴史の複雑さも印象づけ られます。 本講座では、これらをどのように理解したらよいかということについて、かなり強引な考察 を試みたいと思います。すなわちまず、歴史の流れをかなり単純化したパターンで記述し、 その流れの特徴を描き出すことを試みます。 例えば、「宇宙の始まり」という考えは、すでに古代民族に色々見られる「天地創造」の 考えに始まるわけですが、同じような考えでも現代の「宇宙の始まり理論」は、それらと 大きな違いがあります。そしてこの違いをもたらしたのは、各種の科学・技術的宇宙観測 の発展です。パターン化の一つとして、「科学技術の発展と宇宙観の変遷」という視点が 考えられるわけです。 8月の講座に続き、「どのように理解するか」という面を追及してみたいと思います。 *3月21日, 井田 茂 先生: 井田 茂先生は東京工業大学で、宇宙・地球・生命の起源を研究する研究室を主宰され、 また同大学の研究拠点組織としての「地球生命研究所」(略称 ELSI)の副所長をして おられます。講座では、太陽系外惑星探査や地球外生命探査の研究最前線についてお話し いただく予定です。以下に、先生の研究室ホームページからの引用を掲示します: 宇宙・地球・生命の起源 夜空を見上げると光り輝く星々に圧倒されますが、宇宙には数多くの惑星が存在することが わかってきました。 しかし、惑星がどのように生まれ、どのように進化するのかなどはあまり わかっておらず、多くの謎に満ちている分野でもあります。 惑星科学理論構築に向けて 我々は、原始惑星系円盤・惑星系形成過程・内部構造進化など様々な角度から、 N体シミュ レーションや流体シミュレーションを始めとした数値シミュレーションを軸に、 解析的手法・ 系外惑星観測を加えた様々なアプローチ方法でこれらの謎の解決に取り組んでいます。