2019年9月21日、正田亜八香先生講演記録   (中嶋作成)

重力波天文学,芽生えから開花へ


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                     一部の「引用画像」は,解像度を落としてあります.
◎はじめに
*今日のお話し
 ・重力波とは?
 ・どうやってつかまえる?
 ・つかまった信号とは?
 ・何がわかったの?
 ・重力波のこれから

◎重力波とは

*重力とは           (右図はWikipedia より)  
 ニュートンの「万有引力」のこと
 重力があるとどんなことが起こるか?
  → すり鉢のボールの運動に似ている


*重力は、アインシュタインの一般相対論で解明された。
         (右図はGoodStory のページ より)  
 
  
*一般相対論と重力
  トランポリンの膜の上に重いものを置いた時のように、
  重いものがあると周りの時空がゆがむ。

  その物体ををゆすると、ゆがみの波ができる。= 重力波


*重力波  
 ・宇宙の音
  「見ている」だけではわからない事が「聞こえる」
  ほとんどさえぎられない 
   → 宇宙の新しい観測手段


 ・どんな時に出るか
   超新星爆発   (右図はWikipedia のページ より)  
   中性子星
   ブラックホール
   宇宙の始まりの時の空間のゆがみ
    → 宇宙背景放射よりもさらに昔のものが見えるはず


 ・宇宙は何でできているか   
   物質 4% (右図は理科年表オフィシャルサイト のページ より)
   ダークマター 22% 
   ダークエネルギー 74%


 ・重力波が来たらどうなるか 
   空間がゆがむ (縦横のゆがみ)
   それをどうやって検知するか
    → 光を使う。 レーザー光の干渉を使う。


   鏡とビームスプリッターで、レーザー光の干渉を測定する。











 ・明るさの変化の信号は、音として聞くことができる。
    → 測定方法の説明と、重力波信号の音 (ユーチューブ)


   重力波信号を捕えた LIGO の装置  
          (右図はGeekWire のページ より)




   捕えた信号の波形の図    
          (右図は重力波観測の報告論文 より)
    この信号を解析すると、合体のデータが詳しくわかる。



 ・何がわかった?  → 右図 
          (図はForbes のページ より)





 ・何でわかるの?  → 右図 
          (図は重力波観測の報告論文 より)





 ・たくさん見えてます   
          (図はLIGO のページ より)

   他にもたくさん観測されている。


 ・いろんな重さのブラックホール (BH) が  
          (図はWikipedia のページ より)
   これまでのイベントのBHの大きさ
   これまでに知られたBHよりも重い
   どうやってできたか、よくわからない 
   (星の最期のBHは小さい)
         
    → 宇宙の最初にできたのではないか
      
          (図はLIGO のページ より)


  → BHのでき方、いろいろな考えがあり、よくわかっていない。

 ・ブラックホールだけじゃない  
          (図はLIGO のページ より)

    中性子星の合体も観測された。(図の下部は中性子星)


 ・中性子星の合体   
          (図はLIGO のページ および
           報告論文のページ より)
    ※ Virgo は受かっていないように見えるが、実際は
      感度のないその横方向から来たことがわかる。

 ・マルチメッセンジャー天文学の幕開け  
       (図は、報告論文 Ap.J.L. 848, L12 (2017) より)
    → 重力波 γ線 光 赤外線 など、
      いろいろな方法で観測


 ・中性子星合体からわかること
    宇宙を構成する物質の生成過程
      中性子星合体による核融合で重たい金属などができているっぽい。
      私たちの地球の重元素はひとつの中性子星合体で作られた!?

    原子核物理
      中性子星は超高密度の極限状態。
      重力波信号から中性子星の直径が推定できる.
      → 超高密度物質の性質がわかる!


◎重力波のこれから

 ・これからの観測プラン   
          (図はUIB, IAC3 のページより)




 ・世界の重力波検出器  
          (図はLIGO のページより)




*日本の KAGRA について   
          (図はKAGRA のページより)
  トンネルの長さ、3km、2本


 ・特徴
   地下にあること → 地面の振動からの雑音を下げる
   低温に冷やすこと → 熱雑音を下げる

 ・KAGRAが(世界の観測体制に)入ると何がいい?    






*世界の装置の今後のアップグレード計画 

 ・現在の施設の中で新しい技術を導入予定   
          (図はaLIGO のページより)
     鏡の特性向上
     レーザー光の特性向上、etc.


 ・新しい望遠鏡計画  
     (図はCosmic Explorer のページ および 
      Albert Einstein Institute Hannover のページより)



 ・宇宙空間重力波観測装置の計画    
        (図はLISA計画のページ  および
          DECIGO計画のページ より)

   もっと低周波の重力波を観測
   (宇宙の始まりのころの重力波)

   DECIGO計画は、予備実験、SWIMμν衛星の打ち上げが行われた。 


   LISA計画も同様。(LISA パスファインダー) 
        (図はGadgets360 のページより)
    大変良い結果が出ている。




おわり  






*質問 水平に光が進んでいるか?  > 光は曲がらない、トンネルは地球の丸みで曲がる    40kmでは問題になる 40kmが地上の限界 いろいろな影響でダウンしたとき復帰できるか?  > 地面の絶え間ない振動(脈動)の影響は同じ    カグラでは風の影響がない 低周波のノイズ?  > 脈動は低周波で、防振が難しい    振り子の共振周波数 0.5ヘルツまでしかできない    熱雑音も低周波で大きくなる 宇宙の反射鏡は光の圧力で動いてしまわないか?  > レーザー光の力も雑音なのでこれを防ぐ 重力波天文学の目指すもの?  > 宇宙の動く仕組みを理解    BHのでき方    宇宙の始まり    思いもよらない出来事