2020年7月18日 第652回 月例天文講座 

新しい駿台学園75cm望遠鏡の開発

  望遠鏡製作研究家  渡部 一浩(わたなべかずひろ) 先生

                    (右の写真は,クリックで拡大します.)

 1984年に駿台学園の一心荘(北軽井沢)に設置された75cm望遠鏡システムの老朽化に対する改修作業をお受けすることとなりました。

 今回の発表では、2018年より現地調査を開始し、直焦点撮影、経緯儀制御更新まで完了し「いまどきの望遠鏡」に生まれ変わるまでの過程をご紹介します。


 第一ステップの課題は、デジタルカメラで直焦点撮影を行いたいというシンプルな要望でしたが、75cm望遠鏡の第二鏡周りの寸法的な制約によりフィルムカメラからデジタルカメラへの置き換えが容易にできないことが確認され第二鏡周りの改造が必須となりました。

 改造設計の経緯とその後のコマ収差対策についてご紹介します。


 第二ステップとして1984年当時より更新されていない制御系を更新することとなりました。 自作40cm赤道儀の制御システムをベースに開発を開始し、将来の高性能化に対応できるシステムとして制御系の高速化やより高分解能な制御を可能とした制御基板を開発しました。

 駆動系には高分解能で高効率なACサーボを採用し静粛かつモータ発熱を極力抑えることができました。周辺システムとしてはパソコンのプラネタリウムソフトを介して操作するところまでをご紹介します。


                             以上



[参考]
*2013年9月,渡部さんのお話 手作り望遠鏡製作
*同,2018年8月,望遠鏡の鏡面蒸着はどのようにするのか? ― 自作真空蒸着装置 ―