「天体カタログ」というのは、それこそ星の数ほどある天体をリストとして整理したもので、星雲星団の「メシエカタログ」などが有名です。
天体カタログの役割は、一つはそれぞれの天体の位置や明るさをリストアップすること、もう一つは天体の位置データを決めることによって宇宙の中に座標系を構築すること、です。前者のデータから空の地図(すなわち星図)を作れば、それによってたとえば撮影された1枚の写真が空のどこを見ているかを知ることができます。また後者のデータから、地球の姿勢、すなわち宇宙の中での地球自転軸の方向、自転の速度などを、基準天体の位置観測から決めることができます。後者の役割を持つカタログを「基準カタログ」と言います。
恒星のカタログ(すなわち星表)の歴史は、古代ギリシャのヒッパルコスの星表に始まります。これに関し、昨年に興味深い発見があったので、まずこれについて紹介します。
講演では、天体カタログの歴史、基準カタログの意義、天体の位置観測精度の向上の歴史、などについて基礎的な解説を行い、その中で今回の「ガイアカタログ」がいかに画期的なものであるかを説明します。
ガイアカタログによって恒星位置に関する天文学が大きく発展しましたが、これについてはいくつかの例を簡単に紹介するにとどめ、詳細は別の機会に譲りたいと思います。
(中嶋記)