2022年12月17日 第681回 月例天文講座 

データ銀河天文学とバーチャルリアリティ

  国立天文台特任助教     嶋川 里澄
               (右図はクリックで拡大します。)

 2019年にノーベル物理学賞を受賞したマイヨールとケローによる系外巨大惑星の発見や、近年ではロリマーらによる高速電波バーストの発見など、これまで天文学は思いがけない未知の物理現象や天体の発見によって大きな躍進を遂げてきました。

 天文学は今まさにビッグデータ時代に突入してきており、これによりまた新たな革新的発見が起こるのではという期待が寄せられています。本講演ではこの時代背景に触れたのち、ビッグデータとAIを使った研究について、馴染み深い社会的実用例も参照しながらなるべく分かりやすくご紹介します。中でも私の専門とする系外銀河(天の川銀河の外にある銀河)に関する、すばる望遠鏡のビッグデータを扱った研究を中心にお話しする予定です。

 また11月に公開したばかりのすばる望遠鏡3Dバーチャルツアーや、今年3周年を迎えた市民天文学プロジェクト「GALAXY CRUISE」についても時間をかけてご紹介します。

 この機会を通して、基礎研究を目指す若手の減少や国内天文学者のジェンダーバイアスといった、近年の諸問題を改善するために、どういったものがあると良いかについて、参加者の皆様および先生方から貴重なアドバイスを賜りたいと思っております。


【参考リンク】

すばる望遠鏡×異常検知 AI が捉えたへんてこな銀河たち
https://subarutelescope.org/jp/results/2021/11/23/3007.html
GALAXY CRUISE
https://galaxycruise.mtk.nao.ac.jp/
すばる望遠鏡3Dバーチャルツアー
https://subarutelescope.org/jp/Vtour/index.html