2026年3月21日 第720回 月例天文講座
古代における天文学と現代への影響
〜カレンダーを例に〜
星のソムリエ / 株式会社アストロアーツ
天文学史家、ライター 廣瀬 匠
講演要旨:
(3月14日 改定)
高度に発達した現代の天文学は日常とは遠い存在に感じられがちですが、本来は「人類最古の学問」とも呼ばれるほど、古くから人々の営みに深く根ざしてきました。本講演では、古今東西で天文学が果たしてきた役割を概観し、その具体例としてカレンダー(暦)に焦点を当てます。
カレンダーを構成する「年・月・日」が天体の周期に基づいていることは広く知られていますが、本講演では一見すると天体との関わりが薄そうな「週(曜日)」の単位に着目します。日曜から土曜までの名称には、なぜ太陽・月・五惑星の名が冠され、現在の順序で固定されたのでしょうか。
そのルーツを辿ると、5千年以上前のメソポタミア文明に始まり、古代エジプトやギリシアを経て「七曜」の概念が完成するまでの壮大な歴史が見えてきます。その過程では、暦と並ぶ古代天文学の柱である「占星術」との密接な関わりについても触れます。
さらに、このシステムがインド、中国を経て平安時代の日本へといかに伝播したかを考察します。
西洋と大きく異なる天文の歴史を持つ地域での「曜日」の広まり方を通して、地域や時代による天文観の差異と普遍性について考え、講演を締めくくります。
参考資料 (中嶋記)
*タイトルの右の図は、古代メソポタミア文明でカレンダーの作り方を記述した粘土板 "MUL.APIN"。
Wikipedia のページ より。クリックで拡大。