燃料の噴射とロケットの速度


 噴射される物質の量や速度と,ロケットの獲得する速度との間には, 次のような関係があります:

   噴射される物質の質量 × 噴射の速度
       = ロケットの質量 × 獲得速度

 これは物理学で言う「運動量保存の法則」です.
 イオンエンジンは噴射の速度が大きいので,式で見ると,同じ獲得速度のにする場合 噴射物質の質量は少なくて済み,噴射物質を節約できることがわかります.
 実際には,燃料を噴射するとロケットの質量も軽くなるので,もっと複雑な式になります. その式は,ロケットの初期の質量を m0、時間 T 経過後の質量を mT、質量変化は推進剤 として速度 w で噴射されたものとすると、時間 T 経過後のロケットの速度変化分 ΔV は 次の式で表される(ln は自然対数):

   ΔVw ln(m0/mT)

 これを「ツィオルコフスキーの式」と言います.

   ツィオルコフスキーはロシアのロケット工学者,物理学者で,ロケットによる宇宙旅行の原理を 始めて示し,「宇宙旅行の父」と言われている人です.

[参考] 『宇宙飛行の父 ツィオルコフスキー: 人類が宇宙へ行くまで』的川泰宣著(勉誠出版).