No.362: 新しい周期の太陽活動を示す太陽黒点を観測
太陽は、およそ11年の周期で活発な状態と静穏な状態を繰り返しています。
太陽活動の活発さは黒点数の増減に表れ、黒点が多く出現するほど太陽活動が
活発であることを示します。黒点の出現が少なくなる極小期から次の極小期ま
でをひとつの周期と考え、それぞれの周期には1755年から始まる番号がつけら
れています。
1999年から2002年に極大期を迎えた第23周期の太陽活動は、2007年前後に極
小期を迎え、いつ次の第24周期の活動が始まるかが注目されていました。
太陽活動のそれぞれの周期の後半には、黒点は主に赤道付近に出現し、次の
周期の始まりには、前の周期とは逆極性の磁場を持った黒点が高緯度に現れる
ことが知られています。昨年までに観測された黒点は、活動周期の後半を示す
赤道付近に出現しており、第23周期の活動が続いていることを示していまし
た。
しかし、今年1月5日、国立天文台三鷹キャンパスにある太陽望遠鏡のひとつ
でおこなった白色光による観測で、次の太陽周期の始まりを示す、最初の高緯
度での黒点の出現が捉えられました。さらに、「広視野マグネトグラフ」と呼
ばれる機器による磁場の観測では、出現した黒点の磁性が反転していることも
確認されました。
これらの観測により、太陽活動が新しい周期に入ったことが、三鷹キャンパ
スの太陽望遠鏡でも確認されたことになります。
太陽活動が変動するメカニズムには、まだはっきりと解明されていない点も
多く残されており、今後の活動を予測するのは簡単ではありません。今回の第
24周期の太陽活動がどのようなふるまいをするか、見守っていきましょう。
参照:
太陽活動データベース 国立天文台 太陽観測所
http://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/database.html
(白色光全面像・太陽全球磁場より2008年1月5日のデータを参照)
第24太陽活動周期 (サイクル) 最初の活動領域
京都大学大学院 理学研究科附属天文台
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/
A first cycle 24 sunspot (英語)
SIDC (Solar Influences Data Analysis Center)
http://www.sidc.oma.be/news/101/welcome.html
2008年1月21日 国立天文台・広報室