駿台学園ジュニア天文教室,2023年11月18日

タイトル: ブラックホールとその見え方 
講 演 者:  中嶋浩一

※ホームページの見方について 
  http://sundai.sakura.ne.jp


◎前回の復習  (前回のページ) *はやぶさ2の仕事は何か?  → 小惑星のサンプルリターン *太陽系と小惑星について  → 惑星になれなかった原始惑星や微惑星、および衝突した惑星の    破片などが、今の小惑星として残っている。 *はやぶさ2のサンプルリターンからわかったこと:  → 先月の天文講座の説明図    → リュウグウの母天体は、太陽系の外側の方で生まれた。      その後、大きい惑星の引力で、内側の方へ移動した。      母天体には温泉があった。      母天体は他の小惑星と衝突して一度ばらばらになり、また集まって       (より小さな)リュウグウになった。  → その他にもいろいろなことがわかったが、また別の機会に。
◎今月の太陽黒点             太陽の爆発の様子 ========>         → 爆発はだいぶ下火になった。                (右図の出典)   本日の太陽画像(SDOのページ)    → 黒点もだいぶ少なくなった。
◎今月の星空    *11月25日に、月と木星が大接近   → (フリーソフト)ステラリウムで。 *12月14日ころ、ふたご座流星群   → 空の暗いところへ行けば1時間に数十個見えるという予想。     (国立天文台、説明ページ
◎今月のお話し ブラックホールとその見え方 *「ブラックホール」とはどんなものか?   → 皆さんの知っていること(?)     ・強い引力で何でも吸い込む、宇宙に開いた恐ろしい穴。     ・吸い込まれたら2度と出てこられない。     ・光でさえも吸い込まれてしまうので、「黒い穴」になっている。     ・ブラックホールは実際に存在し、観測されている。     ・吸い込まれると、その先は他の宇宙に通じている??? *「ブラックホール」はどのようにして登場したか?  → アインシュタイン博士の「相対性理論」から出てきた。                                (右図の出典)  ・アインシュタイン博士と相対性理論    → アインシュタイン博士の画像      (アルバート・アインシュタインと入力し、画像をみる)    → ブラックホールに関係する相対性理論       =「一般相対性理論」       → 物体には「万有引力」があるが、これは物体の       引き起こす「時空のゆがみ」によるものである。       (「時空」とは?)    → 一円玉を水に浮かべて、シミュレーション実験を        してみよう。       (2021年10月のジュニア天文教室でやった)                   一円玉の実験の図    → 2枚の一円玉のゆがみが「引力」になる実験                          (みんなでやってみよう)  ・相対性理論から、どのようにしてブラックホールが出てきたか?     → ドイツのシュバルツシルト博士が、計算によって導き出した。                       (右図の出典)     アインシュタイン博士の、一般相対性理論の方程式         シュバルツシルト博士の、ブラックホールの方程式        → この方程式は「ある程度巨大な引力を作ると、ゴム膜のような時空が      破れて、底抜けになってしまう」ということを示す。     →  *ブラックホールは宇宙に存在するのか?  ・時空が底抜けになるような巨大な引力は、実際に作れるのか?    → 物体をどんどん圧縮して小さくしてゆけば、どんな大きい引力も作れる。    → しかし、底抜けにするためには、地球くらいの大きさの物体を       1cm まで小さくする必要がある。 → これは不可能。    → 太陽を圧縮して 10km にする。 → これも不可能。    → 太陽の3倍重たい星をつぶして 30km にする。       → これは「中性子星」として可能!       → それらしい星がはくちょう座にあるけれど、         見えないので確認できない。  ・どうやったら底抜けのブラックホールを確認できるか?      → ブラックホールに天体が吸い込まれるときには、      ばくだいなエネルギーが放出される。    → これは、強力な電波やジェット噴出の形で表れるから、      それを探せばよい。      → 参考動画    → 1995年、野辺山電波天文台の中井博士が、        M106銀河の中心に不思議な電波を発見。    → これを詳しく調べたところ、中心に太陽の           3600万倍の重さの天体があることがわかった。    → ジェットも発見され、ブラックホールが確実に      存在することが初めてわかった。       →  新聞記事        (右図の出典、中井博士の紹介もある)    → M106銀河と同じような天体は、他にもたくさんあり、        宇宙はブラックホールだらけである。    → 天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の重さの      ブラックホールがあることがわかっている。    ※ 今日の5時からの天文講座のお話は、これらのブラックホールが      どのように見えるかというお話。      くわしいことは次回復習のときに。 *ブラックホールについての質問  ・ブラックホールに吸い込まれるとどうなるか?   → 小さいブラックホールに大きなものがすこまれるときは、強力な引力でバラバラにされてしまう。     しかし、巨大なブラックホールに小さいものが吸い込まれるときは、バラバラにならず、そのまま     入って行くことができる。  ・ブラックホールの中はどうなっているのか?   → (見ることはできないので、すべて 計算 でのお話し。)   → 底抜けの中心に向かってどんどん落下して行き、後戻りできない。   → その先はどうなっているかは、現在の科学では計算できない。  ・ブラックホールの逆の「ホワイトホール」はあるのか?   → 計算では存在することが可能である。   → しかし、現実の宇宙では「逆の引力」が存在しないため、ホワイトホールを作ることができない。  ・ブラックホールの底抜けの先が、他の宇宙につながってしまうという    ことはないのか?   → 計算では可能であり「アインシュタイン・ローゼンの橋」と呼ばれる。   → つながった先の宇宙では「ホワイトホール」になる。   → このようなものを「ワームホール」という。   → 他の宇宙からのワームホールの出口のようなものは、まだ発見     されていない。  ・ワームホールが、私達の宇宙の他の部分とつながってしまうという    ことはないのか?   → 計算では可能であり、もしできれば「ワープ」が     可能になる。  ・ ???