駿台ジュニア天文教室、2019年2月16日 (2019年2月10日作成)
◎前回の復習
*前回のおはなしは「クレーターと,偏光顕微鏡」(復習は省略)
※ 偏光万華鏡を作りました.(持ち帰らなかった人がいませんか?)
◎太陽黒点{こくてん},爆発現象{ばくはつげんしょう}
*可視光太陽黒点
※ 太陽の表面のようす - 小学理科発展(受験研究社参考書より).
※ 太陽のようす - 中学理科3年 p1, p2, p3 (文英堂参考書より).
→ 輝いている丸いボールのような部分を「光球{こうきゅう}」という.→ 温度は6000度くらい.
→ 光球の中に時々出現する黒い点を「黒点」という.
→ 周囲より温度が低いので黒く見える.
→ 黒点を観察していると,太陽が周期「27日」で「自転」しているのがわかる.
→ 日食の時に光球が(月に)かくされると,光球の外にあるものが見える.
日食のイメージ写真(合成写真)→ (引用元)
→ 赤い炎{ほのお}のようなものは「プロミネンス(紅炎{こうえん})」.
光球の上をうすくおおっているところを「彩層{さいそう}」という.
太陽の外側をうすく広く取り巻いている部分を「コロナ」という.
*太陽表面の爆発現象{ばくはつげんしょう}
→ 黒点の周辺で爆発現象が見られることがある.→ 「太陽フレア」という.
特別な赤いフィルターを使うと見える (Hαフィルター).普通には見えない.
→ 太陽フレアの映像
→ 爆発があると,巨大な爆風{ばくふう}がふき出す.
→ この爆風は電気をおびており,「プラズマ」とよばれる.
→ 巨大な爆風, その2
→ 大きな爆発があるとプラズマの爆風が地球にとどき,いろいろな影響が出る.
→ 「オーロラ」,「磁気嵐{じきあらし}」,宇宙基地での「放射能」
◎オーロラについて → ユーチューブ映像
*オーロラはどのように見えるか?
→ 夜空に,きれいな色の光の帯が,はためくように動いて見える.
宇宙ステーションから見たオーロラ(ナショナルジオグラフィック)
紫色のオーロラ(ナショナルジオグラフィック)
*オーロラは,いつごろ,どの辺でみえるか?
→ カナダ北部やフィンランド,南極大陸など,北極や南極のまわりで見える.
季節には関係ない. (ウィキペディア)
*日本では見えないだろうか?
→ ほとんど見えないが,北海道北部では,まれに少し見えることがある.
→ 2003年10月に,北海道,網走市で見えたオーロラ
→ 非常に強いオーロラのときは,長野県などでも見える.
むかしの記録を調べると,三重県や京都などでも見えたらしい.
→ 国立極地研のページ (右図の引用元)
※ 今日の5時からのお話しは,古い資料から昔の天文現象を調べる話.
1204年,京都でオーロラ(藤原定家『明月記』)
1770年,京都,三重県でオーロラ(京都,東羽倉家の日記,三重,『星解』に図)
※ 2月10日の日経新聞に,これらの詳しい説明がある.(非公開資料)
※ 日本でこのようなオーロラが見えるようなときは,太陽の爆発は超巨大なものであり,
現代の世界ならば,停電,通信の断絶,人工衛星の故障など,大きな被害が出ると
考えられる.→ 過去の記録を調べて,対策を考えよう.
※ 最近では,2017年9月にかなり大きな爆発があり,アメリカ合衆国{がっしゅうこく}でオーロラが見えた.
→ 2017年9月,ジュニア天文資料
*オーロラはなぜ見えるか?
→ 太陽の表面の爆発現象で飛び出した「プラズマ」(電気をおびた高温の気体)が,
地球大気に衝突{しょうとつ}して光る.
→ プラズマの中の「電子」が,そのエネルギーを大気の物質(窒素,酸素など)に
与えると,もらったエネルギーが光になる.
*どうして北極や南極で見えるのか? (右図の引用元)
→ 地球は巨大な磁石になっており,磁力の強い北極や南極に
プラズマがすい寄せられる.
*なぜいろいろな色が出るのか?
→ プラズマが,地球大気の中のいろいろな元素(窒素,酸素,など)
に衝突すると,それぞれの元素に応じた色の光が出る.
◎小さなオーロラを作る実験
*使う装置 (右図の引用元)
・高圧放電装置(数万ボルトの電気を作る)
・真空放電管{しんくうほうでんかん}
・いろいろな気体の放電管(アルゴン,ヘリウム,窒素,ネオン)
*高圧放電装置(誘導{ゆうどう}コイル)の実演
→ 高電圧で飛び出した「電子」が,空気の成分(窒素分子,酸素分子)に衝突
して,「いなずま」のような光を出す.(実際のいなずまも同じ.)
※ 「空気の成分」は,小学理科6年
※ 「分子」は,中学理科2年
*真空放電管の実験
→ 高電圧で飛び出した「電子」が,うすく残った気体の原子(分子)に衝突して,
いろいろな色の光を出す.
→ 何色に光るかな?
*いろいろな気体の放電管の実験
→ 気体が光る原理は,前と同じ.
→ どんな気体が何色に光るかな?
※ 他にもいろいろおもしろい実験ができるが,またの機会に.
◎静電気{せいでんき}の実験
→ 自分の家で,放電の実験をしてみよう.
→ セーターを脱ぐときに,まっくらな部屋で脱ぐと,放電の火花が見える.
※ 静電気は中学理科2年 p1, p2 (文英堂参考書より).
*静電気を作る
→ 塩ビパイプを毛糸のマフラーなどでこすると,静電気が起きやすい.
→ 紙切れを近づけてみるとわかる.
→ 静電気をたくさん作る装置と,静電気をためる装置(コンデンサー,蓄電器{ちくでんき}).
→ がんばってたくさんためると,蛍光灯や「放電管」を光らせることができる.
→ 小さなオーロラ.
※ 小さな放電管は,塩ビパイプで光らせることができる.
(片方の端子を手でにぎって,静電気に近づける.)
※ 出席シール台紙と,シールについて.
今月のシールは「木星」