◎前回の復習 (
前回のページ)
*太陽面の爆発(フレア)の観察 (SDO衛星の画像より)
*11月19日の月食のおはなし
*火星とはどのような星か、火星探検
*砂鉄を使って磁力線を見る実験
◎今月の太陽黒点
*SDO衛星の画像の観察:
→
11月末~12月の黒点
→
同じ時期の紫外線画像
→ 前半はあまり活発ではなかったが、最近大きい黒点群が出てきて、活発。
→
ここ数日の活動
◎今月の星ぞら
*今月のテーマは「金星」
→ 金星は、今月にたいへん細長くなり、月末には
夕空から見えなくなる。
→ 1月には、明け方の東のそらに見える
「明けの明星{みょうじょう}」になる。
→ ステラナビゲータで観察。
*「ふたご座流星群」は見ましたか?
◎今月のおはなし 「電波で星を見る」
*「電波」について:
・「電波」と理科
→ 小学校、中学校の理科では、「電波」は出てこない!
(それでも、みんなよく知っているし、よく使っている。)
・「電波」と生活
→ ラジオ、テレビ、携帯電話 (ほかにどんなものを知っているかな?)
・「電波」の性質 (光とくらべて)
→ 雲や霧の中でも通り抜ける。
→ ものかげにもまわり込んでくる。
→ 木製のかべや、カーテンなどは通り抜ける。
・「電波」の技術
→ 電気が流れると電波が発生する。
→ 電波が来ると、電線に電気が流れる。
→ 電波を出したり受けたりする電線を「アンテナ」という。
※
あとで実験します。
・「電波」の種類
→ 普通のラジオの電波: 長い電線で受信する。
→ FM ラジオの電波: 1m くらいの長さの電線や、金属の棒で受信する。
→ 地上波テレビの電波: 20cm くらいの金属の棒で受信する。(たくさん並べて使う)
→ 衛星テレビの電波: 「パラボラアンテナ」を使う。
→ 携帯電話の電波: 携帯電話全体がアンテナとなって電波を受ける。
・「電波」で天体を観測する:
→ 「星雲」の中を見ることができる。
→ 昼間でも観測できる。
→ 「特殊な電波」を出す物質があり、その存在がわかる。(水素原子や分子など)
→ 天体の中の「電気」の現象がわかる。
→ 特に「磁力線」に関係した電気の現象がよくわかる。
→ たいへん弱いので、大きな装置(アンテナ)が必要。(光も望遠鏡が必要)
→ 人間の発する電波が、観測のさまたげになる。(光も同じ)
*目で見た宇宙と電波で見た宇宙のちがい
・「太陽」を見る:
光で見た太陽と電波で見た太陽
右図の出典
→ 黒点のあるところが明るく見える。
← 黒点には「磁力線」があり、
それが強い電波を出す。
・「星雲」を見る:
オリオン大星雲の画像
※「オリオン大星雲」とは?
→ ステラナビゲータで説明。
右図の出典
→ 星雲の内部に何か見える。
→ 見えているものは、特殊な電波を出す物質
「分子」の雲。
→ 分子の雲の中では、星が誕生している!
・「天の川」(「銀河鉄道」の銀河)を見る:
光で見た天の川
駿台北軽井沢天文台の天の川 くわしい画像
出典
天の川全体の合成画像
電波で見た天の川 合成画像
光と電波の画像を拡大比較
以上の3つの図の出典
→ 光では「暗黒星雲」にじゃまされて、遠くが見えない。電波では遠くまでよく見える!
→ いて座の方向に、電波のいちばん強いところがある。
→ これが天の川の中心で、天の川は(上から見ると)こんな
形をしていることが電波でわかる!
出典
※ これを「うずまき銀河」という。
宇宙には、同じような天体がたくさんある。これらを、あらためて「銀河」と呼ぶ。
出典
※ 春の星座、おとめ座には、このような銀河がたくさん集まった「銀河団」がある。
出典
・そら全体を見る:
そら全体の電波地図
出典
→ (天の川以外に)はくちょう座、カシオペア座、おうし座、ケンタウルス座、オリオン座、
ほ座、おとめ座、などに電波の強いところ(電波源)がある。
・オリオン座の電波源 = オリオン大星雲(前出)
・カシオペア座、おうし座、ほ座、の電波源 = 超新星爆発残骸
{ちょうしんせいばくはつざんがい}
これらを光で写した画像:
おうし座カニ星雲 カシオペア座 ほ座
出典 出典 出典
→ 爆発の残骸の中では、強力な磁力線が発生して電波を出す。
・おとめ座、ケンタウルス座、はくちょう座、など = ずっと遠方の特殊な「銀河」
→ われわれの「天の川銀河」も中心から強い電波を出しているが、これらの銀河は
けたちがいに強い電波を中心から出している。→「活動銀河」
目に見える光で撮影した、これらの銀河(平凡な銀河に見える)
おとめ座の銀河 ケンタウルス座の銀河 はくちょう座の銀河
出典 出典 (出典は CDS Symbad サービス)
→ 特殊な電波望遠鏡で、これらを見ると:
おとめ座の銀河(M87) ケンタウルス座の銀河 はくちょう座の銀河
出典 出典 出典
M87 の拡大図 特殊な電波望遠鏡で観測した、M87 中心部
出典
→ 超巨大なブラックホールに星が吸い込まれて行くときに、強力な「ジェット」が噴出する。
→ ジェットにはやはり強力な磁力線があり、これが電波を出す。
・さらに強力な電波銀河「クエーサー」
光で見たクエーサーの写真 電波で見たクエーサー
出典 出典
→ どのように見ても1個の星のようにしか見えないが、たいへん遠方にあり、また超強力な
電波や光を出している。
→ 普通の星の1000万倍も遠方にあり、100兆倍も強力な光や電波を出している!
→ やはりジェットが見えるので、「活動銀河」の一種であると考えられる。
→ ジェットの方向がまっすぐこちらに向いているので、強力に見えるのではないか。
※ 他にも「パルサー」などのいろいろな発見があったが、今日は省略。
※ 最近の新しい「アルマ電波望遠鏡」でもいろいろな観測があったが、今日は省略。
◎電波の実験